研究課題/領域番号 |
22K11313
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
田中西窪 加緒里 (田中加緒里) 愛媛大学, 医学系研究科, 講師 (60380242)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下圧発生パターン / 嚥下圧伝搬連続性 |
研究実績の概要 |
本研究では、簡便かつ的確に嚥下能力を見極める病態診断方法を確立し、さらにその結果から安全な経口摂取獲得に向けた治療アルゴリズムの確立を目的としており、現在、嚥下困難・嚥下障害にて当科受診した嚥下障害患者50人に対し、嚥下内視鏡検査、嚥下造影検査、嚥下圧検査による多角的な嚥下動態評価および、誤嚥性肺炎リスク、栄養状態評価、結果に基づいた適切な食事形態についての選定などの情報を収集している。さらに、食形態指示やリハビリ介入後の経口摂取の安定性や栄養状態についても、引き続きフォローを行い、半年後に再評価予定である。また、嚥下中枢Central pattern generator:CPGの特徴である、嚥下圧伝搬の連続性や収縮力に基づき、High-resolution manometryによる嚥下圧検査から得られた圧トポグラフィーを4つに分類した。具体的には、嚥下圧発生のタイミングが咽頭から食道へと保たれている症例のうち、嚥下圧が約100mg以上であるかどうかで、パターンA:正常タイプ、パターンB:一部圧低下タイプ、パターンC:全般的圧低下タイプ、嚥下圧発生のタイミングが乱れている症例を、パターンD:嚥下圧発生パターン消失タイプ、とした。現時点では、まだ症例数が少なく、有意差はでていないが、パターンC、パターンDは誤嚥性肺炎や、経口摂取自立困難症例が多い傾向が確認されている。また、各疾患ごとのこのパターン評価やHRMパラメータとの関連についても評価を開始している。引き続き、症例を蓄積する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
嚥下障害患者に対する多角的評価やアルゴリズム作成を目的とした臨床研究に対するIRB承認も早くから得られており、年度始めから、予定している研究を開始することができている。
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今後の研究の推進方策 |
今後、さらに症例を蓄積し、2023年度はさらに50症例追加する予定である。また、昨年度に収集した嚥下機能検査の、嚥下内視鏡検査や嚥下造影検査の定量評価も開始し、HRMの各パラメータの意義についても、検討していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
食形態の粘度、粘稠性、通過性評価を行う予定であったが、今年度は行うことができず、次年度に繰越となったためと考えらえる。次年度に実行予定である。
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