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2022 年度 実施状況報告書

Pusher症候群の病態基盤の解明と効果的なリハビリテーション法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K11334
研究機関医療法人福岡桜十字(桜十字先端リハビリテーションセンター SACRA)

研究代表者

久保田 勝徳  医療法人福岡桜十字(桜十字先端リハビリテーションセンター SACRA), リハビリテーション部, 研究員 (90843615)

研究分担者 玉利 誠  令和健康科学大学, リハビリテーション学部, 教授 (80786145)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードPusher症候群 / 主観的身体垂直 / 主観的視覚垂直 / 評価
研究実績の概要

本研究は、Pusher症候群の病態基盤の解明と新たなリハビリテーション法を確立することを目的としている。その方法として、臨床現場で主観的身体垂直と主観的視覚垂直を個別かつ簡便に定量し得る評価機器を開発し、開発機器を用いてPusher症候群を呈する患者の垂直性に関する特徴を横断・縦断的に明らかにするとともに、脳内の構造的および機能的ネットワーク解析を用い、脳損傷との関係性を神経学的メカニズムの観点から解明することとしている。
2022年度の研究実績は、既に開発していた主観的身体垂直と主観的視覚垂直を評価する機器のプロトタイプの改良を行った。主観的身体垂直の評価機器は、大型であったが、小型の椅子式機器のみで計測できるようになり、汎用性が高まった。また、主観的視覚垂直の評価機器は、ロッドのみが回転する単純視覚刺激であったが、ロッド以外の背景にも動きを付加した二重課題視覚刺激を加えることができた。
総じて、これまで大掛かりな機器を必要とした問題や、暗所を必要とした環境的制約、検査者の徒手操作による恣意性を解決できる機器の改良によって、患者の垂直性の障害を正確に定量することが可能となった。
近年では正常加齢や脳損傷以外の疾患によっても、主観的身体垂直や主観的視覚垂直が変容する可能性が示唆されていることから、本研究で得られる成果は、社会的ニーズが高い高齢者の転倒予防プログラムや脳損傷以外の患者の社会復帰などにも応用できる可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2022年度の研究計画では、既に開発していた主観的身体垂直と主観的視覚垂直を評価する機器のプロトタイプの改良を行うことと、世代別の健常人200名程度を対象に開発機器により得られる各種定量値(角度、垂直誤差角度、偏差、変動性等)の正常範囲を明らかにし、主観的身体垂直および主観的視覚垂直の病的な低下との鑑別を可能とする指標を得ることとしていた。
しかし、コロナ感染症の拡大やウクライナ危機等の影響によって世界的な半導体不足となり、その影響がプロトタイプの改良に大幅な時間を要した。そのことによって、プロトタイプの機器の改良はできたが、健常人に対する計測が実施できていないため、2023年度に引き続き計測していく予定である。

今後の研究の推進方策

今後は、新たに開発した主観的身体垂直と主観的視覚垂直を評価する機器を用いて、世代別の健常人200名程度を対象に開発機器により得られる各種定量値の正常範囲を明らかにし、主観的身体垂直および主観的視覚垂直の病的な低下との鑑別を可能とする指標を得る。
また、脳卒中患者の主観的身体垂直および主観的視覚垂直とPusher症候群の関係の解明を目的に、脳卒中患者100名程度を対象として、開発機器を用いた主観的身体垂直と主観的視覚垂直の定量評価を行い、従来の評価(SCP)スコアや座位および立位姿勢における運動学的評価との関係を検討する。そのうち、50名程度を対象としてMRI画像を撮像した後、画像解析(拡散テンソルトラクトグラフィー、Resting state fMRI)を用いて脳の構造的および機能的ネットワークの関係を解明する。

次年度使用額が生じた理由

主観的身体垂直と主観的視覚垂直を評価する機器であるプロトタイプの改良に時間を要したことで健常者の計測が実施できなかったため、2023年度内での研究成果の発表や被験者協力謝金の費用を次年度使用する予定である。

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公開日: 2023-12-25  

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