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2022 年度 実施状況報告書

細胞外マトリックス・テネイシンXによる軟骨代謝機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K11339
研究機関島根大学

研究代表者

山田 和夫  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (30240005)

研究分担者 松本 健一  島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (30202328)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード細胞外マトリックス / テネイシンX / 軟骨代謝 / エーラス・ダンロス症候群 / アグリカン / II型コラーゲン
研究実績の概要

細胞外マトリックスタンパク質であるテネイシンX(TNX)は、関節、皮膚などに脆弱を来すことが知られている類古典型エーラス・ダンロス症候群(EDS)の原因遺伝子として同定された。我々は、既にTNX-KO(TNXノックアウト)マウスを用いた解析から、TNX-KOマウスでは破骨細胞への分化が促進し、骨量が減少することを明らかにした。しかしながら、これまで軟骨細胞自身が軟骨変性に関わる研究はほとんどなされていない。本研究は、TNXによる軟骨代謝機構の解明を目的とした。最初にTNX-KOマウスの軟骨分化の解析を行った。野生型(C57BL/6J)マウス及びTNX-KOマウスの大腿骨膝関節面より関節軟骨を採取し、コラゲナーゼで処理し、初代軟骨細胞を培養した。軟骨細胞への分化は、細胞からRNAを抽出し、種々の軟骨分化マーカーの発現を定量PCRにて解析した。その結果、TNX-KOマウスでは野生型マウスに比べ、II型コラーゲン、アグリカンの発現が減少する傾向が認められた。これらの結果より、TNXが軟骨分化に関与する可能性が示唆された。次に、野生型C3H10T1/2細胞及びTNX-KO C3H10T1/2細胞に、骨形成因子-2(BMP-2)を添加し、同様に軟骨分化に関わる遺伝子の発現を定量PCRにより解析した。野生型C3H10T1/2細胞及びTNX-KO C3H10T1/2細胞は共にBMP-2添加により、II型コラーゲン、アグリカンの増加が認められた。しかしながら、野生型C3H10T1/2細胞及びTNX-KO C3H10T1/2細胞間でII型コラーゲン、アグリカンの発現の差異は認められなかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初、野生型C3H10T1/2細胞及びTNX-KO C3H10T1/2細胞を用いて軟骨分化におけるTNXの役割を検討する予定であったが、野生型C3H10T1/2細胞及びTNX-KO C3H10T1/2 細胞を骨形成因子-2(BMP-2)で軟骨分化させた際、II型コラーゲン、アグリカンの発現は増加したが、二つの細胞間でII型コラーゲン、アグリカンの発現の差異は認められなかった。そこで、野生型C3H10T1/2細胞のTNXの発現レベルを確認したところ、TNXの発現は非常に低いことがわかり、野生型C3H10T1/2細胞を用いての解析は難しいと考えられた。そのため、TNX-KO C3H10T1/2細胞の代わりにTNX過剰発現 C3H10T1/2細胞を用い、野生型C3H10T1/2細胞及びTNX過剰発現C3H10T1/2細胞とで軟骨分化におけるTNXの役割を比較する必要があり、このことを考慮して「やや遅れている」とした。

今後の研究の推進方策

TNXによる軟骨代謝機構を解明するため、(1)TNX-KOマウスを用いて軟骨代謝機構をさらに解析する。(a)マウス関節軟骨初代培養細胞による軟骨変性の解析:野生型(C57BL/6J)マウス及びTNX-KOマウスの大腿骨膝関節面より関節軟骨を採取し、初代軟骨細胞を培養する。軟骨基質の変性は、アルシアンブルー染色で調べる。また、抽出RNAを用い、軟骨分解酵素び炎症に関わる酵素の発現を定量PCRにて解析する。
(2)野生型C3H10T1/2細胞及びTNX過剰発現C3H10T1/2細胞を用いて軟骨代謝機構を解析する。
(a)軟骨分化の解析:野生型C3H10T1/2細胞及びTNX過剰発現 C3H10T1/2細胞に、BMP-2を添加し、軟骨細胞に分化させる。軟骨細胞への分化は、細胞からRNAを抽出し、軟骨細胞マーカーの発現を定量PCRにより解析する。(b)細胞増殖、アポトーシスの解析:野生型C3H10T1/2細胞及びTNX過剰発現 C3H10T1/2細胞に、BMP-2を添加し、軟骨細胞に分化させる。細胞増殖はMTTアッセイにより、アポトーシスが惹起されるかどうかはTUNEL法により解析する。(c)炎症性物質の解析:野生型C3H10T1/2細胞とTNX過剰発現 C3H10T1/2細胞にBMP-2を添加して軟骨細胞に分化させる。次に、炎症性物質の産生に相違があるかどうかを炎症性物質(サイトカイン、トリプトファン代謝産物)を測定し、解析する。

次年度使用額が生じた理由

初年度141,019円の繰越があるが、これは研究代表者のC57BL/6Jマウス購入費及びC57BL/6Jマウス、TNX-KOマウスの飼育管理費、研究分担者のアポトーシス測定用キットの購入費に充てる予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] COL1A1 expression induced by overexpression of both a 15 amino acid peptide from the fibrinogen domain of tenascin X and integrin α11 in LX 2 cells.2022

    • 著者名/発表者名
      Ken-ichi Matsumoto, Kohei Kawakami, Kazuo Yamada, Haruo Takeshita.
    • 雑誌名

      Molecular Medicine Report

      巻: 26 ページ: 330

    • DOI

      10.3892/mmr.2022.12846.

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 質量分析法を用いた LX-2細胞培養液中の各種コラーゲンの同時定量法の開発.2022

    • 著者名/発表者名
      Ao Gong, Kazuo Yamada, Haruo Takeshita, Ken-ichi Matsumoto.
    • 学会等名
      第54回日本結合組織学会学術大会
  • [学会発表] 類古典型エーラス・ダンロス症候群における分子遺伝学的・臨床的研究:アジア初のシリーズ.2022

    • 著者名/発表者名
      山口智美、山田和夫、松本健一、古庄知己
    • 学会等名
      第3回日本エーラス・ダンロス症候群研究会
  • [学会発表] A simultaneous quantification method of collagens by nano-liquid chromatography tandem mass spectrometry.2022

    • 著者名/発表者名
      Ao Gong, Kazuo Yamada, Haruo Takeshita, Ken-ichi Matsumoto.
    • 学会等名
      第3回日本エーラス・ダンロス症候群研究会

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公開日: 2023-12-25  

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