研究課題/領域番号 |
22K11341
|
研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
古川 順光 東京都立大学, 人間健康科学研究科, 教授 (50299799)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 呼吸機能 / 最大吸気筋力 / 最大呼気筋力 / 横隔膜可動性 / 胸郭可動性 / 端座位 |
研究実績の概要 |
姿勢変化に伴う胸郭可動性や横隔膜可動性の変化が、種々の姿勢における呼吸機能、呼吸筋力発生に及ぼす影響を明らかにし、どのような姿勢で、どのような方法で行ったら、より効果的かとの情報は重要である。本研究の目的は、呼吸機能・呼吸筋力に対する姿勢の影響を明らかにし、呼吸筋トレーニングに資することである。 2022(令和4)年度の計画は、健常男女大学生30名を被験者とし、端座位における数パターンの体幹屈曲角度での呼吸機能、呼吸筋力、胸郭可動性、脊柱可動性、骨盤角度、横隔膜可動性の測定を行い、これらの関係性を検討し、呼吸機能、呼吸筋力を効率よく発揮できる条件を明らかにすることとした。 2022年度は健常大学生14名を対象に、端座位における呼吸機能、呼吸筋力、胸郭可動性横隔膜可動性の測定を実施した。端座位での体幹角度の設定は最小単位の5度は、測定中にずれが生じることが判明し、10度単位での5パターンでの測定を行った。呼吸機能・呼吸筋力の測定は,新型コロナウイルス感染症対策に伴い、当初予定よりも測定時間を要する状況であった。端座位における呼吸機能は%肺活量の平均値が92.2%、最大吸気筋力は体幹屈曲伸展中間位と比べ、伸展位で10~15%、屈曲位で10%増加する傾向、最大呼気筋力は伸展位で5%程度減少する傾向、屈曲位で5~10%増加する傾向があった。また、胸郭可動性は屈曲位・伸展位で上部、中部胸郭の可動性が減少し、下部胸郭の可動性が増加する傾向があった。横隔膜可動性は一定の傾向はみられなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022(令和4)年度の計画は、健常男女大学生30名を被験者とし、端座位における数パターンの体幹屈曲角度での呼吸機能、呼吸筋力、胸郭可動性、脊柱可動性、骨盤角度、横隔膜可動性の測定を行う予定であった。 実際には研究倫理審査委員会の承認を得てからの対象者のリクルートとなったこと、横隔膜可動性の測定に使用する超音波診断装置の当初予定機器の購入が叶わず、別の機器を選定せざるをえない状況となったこと等から、実施できた対象者数は当初予定の半数の対象者数にとどまった。また、新型コロナウイルス感染症対策に伴い、1回の測定時間も当初予定していた時間よりも長時間が必要となり、脊柱可動性の測定は困難であった。
|
今後の研究の推進方策 |
2023(令和5)年度以降の計画では前年度までに実施した測定を他の姿勢で実施する予定としている。まずは背臥位と背臥位で股関節・膝関節を屈曲した姿勢、次に側臥位での測定を実施する予定である。背臥位、側臥位では、端座位と比べ呼吸機能において重要な胸郭が床上へ接触し、身体に加わる重力方向も変化するため、呼吸筋力の発揮条件にも違いがみられると推測している。 2022年度に予定していた被験者数に達していないこと、測定を実施できていない項目もあることから、実施できていなかった測定を優先して実施することとする。脊柱可動性の測定に関しては、呼吸機能・筋力との同時測定は困難だったことから、別の機会を設けて測定することを検討する。2022年度分の測定の進行に合わせて、上記の当初予定していた測定を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
2022年度に購入予定であった測定機器を当初予定のものから変更したこと、被験者予定数が下回ったことにより次年度使用額が生じることとなった。 2023年度以降は測定を効率よく進行するために、実験補助者を雇用するとともに、被験者の募集もより多く集まるように募集をかけて、さらに学会等の参加を積極的に行い使用する計画である。
|