研究課題/領域番号 |
22K11347
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡邉 公雄 東北大学, 大学病院, 医員 (20595607)
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研究分担者 |
佐藤 恵美子 東北大学, 薬学研究科, 准教授 (20466543)
中山 昌明 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (60217940)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | HIF-PH阻害薬 / サルコペニア |
研究実績の概要 |
サルコペニアは全身骨格筋量および筋力の進行性の低下を特徴とする筋消耗状態で、特に血液透析患者では顕著に認められ、これによる身体障害は生活の質の低下のリスクや死亡率の増加と関連する。しかしながら腎不全患者に合併する疲労感やサルコペニア発症の根本的なメカニズムは未だ解明されておらず、腎性貧血、炎症性サイトカインの関与、尿毒症物質蓄積による細胞毒性、ATPと筋肉代謝の変化、貧血、視床下部-下垂体-副腎系や神経伝達物質の調節不全など多因子的な影響を受けている可能性が指摘されている。HIF-PHD阻害薬はプロリン水酸化酵素(PHD)を阻害し、低酸素誘導因子(HIF)を安定化することで貧血を改善する新たな腎性貧血治療薬である。この薬剤は内服薬のため従来の赤血球造血刺激因子製剤(ESA)と比較して低侵襲であり、鉄動態を最適化する作用もあることからESA低反応例への効果も期待される5。本研究では腎不全患者に特有の疲労感、サルコペニアのメカニズムを明らかにするため、腎性貧血に着目することとした。ESA抵抗性のためにESAからHIF-PHD阻害薬に切り替えた症例を対象として、疲労感の問診と体組成計(バイオインピーダンス法、Seca(R))による筋肉量の評価を経時的に行い、さらに血中代謝物および尿毒素物質を質量分析(GC-MSおよびLC-MS)にて網羅的測定を行い、包括的な分析を実施することとする。 2023年4月時点で、透析患者10例を対象としてESAからHIF-PH阻害薬に切り替えを行い、3ヶ月間、経過をフォローした。 ESAからHIF-PH阻害薬への切り替え後、3ヶ月間での体組成計による筋肉量は有意な変化は認められず、引き続きより長期に渡る臨床効果についての検討が必要と考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の採取が終了しており、次のフェーズである筋肉量の変化のフォローアップならびにメタボロミクス解析へと移行している。
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今後の研究の推進方策 |
メタボロミクス解析とサルコペニアの改善の有無についての評価を継続する。
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次年度使用額が生じた理由 |
メタボローム解析に関わる費用などを次年度に算定することとしたため。
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