研究課題/領域番号 |
22K11396
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
佐々木 隆光 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (00382284)
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研究分担者 |
國安 弘基 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (00253055)
谷 里奈 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20783872)
森 拓也 奈良県立医科大学, 医学部, 研究員 (70897412)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | がん性悪液質 / がん性心筋障害 / がん治療関連心筋障害 / ミトコンドリア / フェロトーシス |
研究実績の概要 |
癌患者の死因は心機能障害に次いで多い。抗がん剤による心毒性がその原因として強調されているが、その詳細は不明である。このメカニズムを調べるため、ラット心筋芽細胞H9c2細胞をスニチニブ、ラパロチニブ、5-フルオロウラシル、シスプラチンで処理し、その作用を調べた。すべての抗がん剤は、ミトコンドリア内の活性酸素、過酸化脂質、鉄(II)レベルを増加させ、グルタチオンペルオキシダーゼ4レベルとGSH:GSSG比を減少させた。このような背景から、ミトコンドリアの鉄(II)は、ヘムオキシゲナーゼ1とフェロキラターゼの発現が制御されないことにより蓄積する。抗がん剤による細胞死は、N-アセチルシステイン、デフェロキサミン、フェロスタチンによって抑制され、フェロプターシスを示した。抗がん剤投与はH9c2細胞のミトコンドリアDNAを障害し、酸化的リン酸化を阻害した。同様の結果は、in vitroで抗がん剤を投与した非がんラットの心臓でも観察された。これらの結果から、抗がん剤による心筋障害にフェロプトーシスが重要な役割を果たすことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん性心筋障害の重要な部分であるがん治療関連心筋障害にフェロトーシスが重要な役割を果たすことを明らかにした。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、抗がん剤により誘導されるフェロトーシス;を抑制する方法について検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
抗がん剤による心筋フェロトーシスを抑制する食品栄養素を検討するための動物モデルの費用を次年度に移行した。
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