研究課題/領域番号 |
22K11399
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
後藤 純信 国際医療福祉大学, 医学部, 教授 (30336028)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | 半側空間失認 / 機能的コネクトーム / 個性 / 立体運動視刺激 / 誘発電位 / 脳波 / 性格検査 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
主に劣位半球頭頂葉障害で起こる半側空間失認(Unilateral spatial agnosia: USA)は、障害反対側からの感覚刺激を認識できない高次脳機能障害で、視覚や体性感覚を介した外界の感覚認知障害とも捉えられる。しかし、今まで我々が行ってきた研究では、同じ疾患で同程度の脳障害でも失認の程度やリハビリテーションによる回復程度が大きく異なり、患者の環境因子に基づく「個性」が大きく影響している可能性が示唆されている。 本研究では、「個性」を「性格の違い」と定義し、立体運動視覚刺激を与えた時の健常脳とUSA脳での脳内情報処理ネットワークが、「個性」でどのような相違を生じているかを電磁気生理学手法や機能画像で検討し、USA脳の障害メカニズムやリハビリテーションが脳可塑性にどのように影響を与えているかを明らかにすることを目的としている。研究①では、心理的性格分類と脳波(誘発電位の主成分やγ帯域微小律動波(γ波))の頭皮上分布の相違を検討し、研究②では、心理的性格分類とrs-fMRIとの相関を検討する。研究①と②より、健常者とUSA患者での「個性」による脳内機能連関の相違を明らかにすることとした。初年度でもあり、よび研究として、健常若年成人(20歳~22歳)の5名を対象とし、「個性」(性格)の違いによって視覚情報の脳内処理メカニズムにどのような相違があるかを、被検者にNEO-FFIに回答してもらった後、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow,OF)の3D刺激画像を刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示し、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録した。その結果では、5名全てで、3D-OFに特徴的なP100, P200およびP250のピークを確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、研究開始初年度でもあり、健常若年成人(20歳~22歳)の5名を対象とし、「個性」(性格)の違いによって視覚情報の脳内処理メカニズムにどのような相違があるかを、被検者にNEO-FFIに回答してもらった後、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow,OF)の3D刺激画像を刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示し、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録した。その結果では、5名全てで、3D-OFに特徴的なP100, P200およびP250のピークを確認できた。ただし、NEO-FFIとの比較やそれぞれのピークの頭皮上分布の個人差については、今後解析する予定であるため、現時点では、個人差は明らかにできていないが、予備実験としては、ウエアラブル脳波計での誘発電位の測定が可能であることが実証できた。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降、本実験に着手し、研究①(心理的性格分類と電磁気生理学的検討(EEG記録と解析))として、被検者にNEO-FFIに回答してもらった後、視角15x18度の黒色画面に、400個の白色ドット(視角0.5度)を用いた放射状運動(optic flow)の3D刺激画像を刺激間隔1500ミリ秒~3000ミリ秒で750ミリ秒呈示し、眼球運動をモニターしながら、その際の全頭(256ch)での電気反応の変化を記録する。解析は、刺激で誘発される主成分の振幅や潜時の変化とその頭皮上分布をNEO-FFIの結果で分類して解析するだけでなく、脳の情報処理に関与するとされるγ帯域微小律動波(γ)に着目し、その脳内分布の時間的変化を検討する。また、研究②(心理的性格分類とrs-fMRI(resting state-fMRI)の相関の研究)では、研究①の被検者を対象として、MRIを撮影し、rs-fMRIを記録する。rs-fMRI解析では、視覚系に限らず想定できる脳内機能的ネットワークモデルについて詳細な統計学的機能連関を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、COVID-19の影響もあり、40歳~60歳の健常者や半側空間失認患者を対象とした本研究をおこなうことができず、予備研究のみを行ったため、予算額より使用額が少なくなった。
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