研究課題/領域番号 |
22K11402
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
永井 隆士 昭和大学, 医学部, 准教授 (10384421)
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研究分担者 |
笠井 史人 昭和大学, 医学部, 教授 (50266095)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 嚥下機能障害 / リハビリテーション / 腹壁宣仙骨間距離 / 骨粗鬆症 / 腹囲 / サルコペニア / 脊椎グローバルアライメント / 後弯変形 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、腹筋のゆるみの原因となる腹筋の筋量および筋力の低下が甲状軟骨周囲筋の筋量と筋力の低下を引き起こし、嚥下機能を低下させるかどうかを解明することである。腹筋のゆるみ(腹筋の筋量と筋力)と嚥下機能に着眼した点が世界的にも類を見ない画期的な新しい取り組みである。特に今回は、腹筋のゆるみの評価を、腹囲を用いるのではなく、診察でルーチンに撮影している単純X線脊椎像から仙骨と腹筋先端部までの距離を用いる。この方法もオリジナルのもので新規性が高い。 また本研究では、甲状軟骨の位置と腹筋のゆるみ(腹筋の筋量と筋力)に注目し、全身の筋量、脊柱の後弯変形の関係を解明することを目的にした。 2022年度は、腹筋の緩みと体幹部の筋力の衰え、サルコペニアとの関連を解明することを行った。サルコペニアや円背の原因の一つに骨粗鬆症との関連が指摘できる。腹壁仙骨間距離は、脊椎グローバルアライメントとは独立した因子であった。一方、腹囲は脊椎グローバルアライメントに相関する因子であることが判明した。そのことから、腹壁仙骨間距離を計測するとことで、体幹筋力との関係を論じる土台が形成できた。腹筋の緩みは握力と血清25(OH)Dの低下と関係があることを明らかにした。また、腹囲と脊椎グローバルアライメントを用いて4群に分類すると、サルコペニアのリスクは腹囲の少ない人に多いという結果であり、痩せることだけがメリットではないことを明らかにした。これらの内容を論文化し、現在海外雑誌に投稿中である。 2022年度の結果から、骨粗鬆症患者の疼痛治癒の症例報告や続発性骨粗鬆症に対する知見も得ることができたため、論文化して投稿することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍による影響で国際学会に発表できてはいないが、国際雑誌に投稿した論文が4編あり、1編は掲載されるに至った。残りの3編は現在査読審査中である。また、現在執筆中の論文が2編あり、これも順次投稿できる見通しであるため。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、3つの目標を掲げている。一つ目は、筋肉量の低下と腹筋の緩み(腹筋仙骨間距離の延長)の関係を明らかにすることであり、これは2022年度に行うことができた。2つ目は、腹筋の緩みと脊椎アライメントおよび甲状軟骨の低下の関係を明らかにすることであり、これを2023年度中に行う予定である。3つ目は、嚥下機能の低下をきたしている症例の実態調査および2022年度、2023年度の研究結果の検証である。 2023年度は、先の研究目標の2つ目を行う予定である。実際には、骨粗鬆症患者の頚部の単純レントゲン画像から、第2頚椎下縁に引いた線からの距離を測定する(舌骨・甲状軟骨)。これにより、甲状軟骨の低下との関係を明らかにしていく。また、脊椎グローバルアライメントの計測データおよび、舌骨・甲状軟骨のデータを用いて、年齢との関係、サルコペニア、栄養状態、栄養との関係、握力、サルコペニアなど筋力・筋量との関係など調査する。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、コロナ禍で国際学会に参加できなかったことと、国内の学会でもWebでの学会開催があったため現地に行かずに済んでしまい、旅費の費用が予定よりも少なくなった。委託業務によるデータ打ち込みなどを、なるべくコスト削減のため、自分で入力してコスト削減したため人件費・謝金が予算よりも低くなった。 2023年度はコロナも落ち着いており、学会活動も現地開催が主になりそうなため、計画通りにできそうである。また、海外雑誌への投稿予定が多く、英文校正代や論文掲載費として使用する予定である。
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