研究課題/領域番号 |
22K11406
|
研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
小山 総市朗 藤田医科大学, 保健学研究科, 准教授 (90754705)
|
研究分担者 |
田辺 茂雄 藤田医科大学, 保健学研究科, 教授 (50398632)
井伊 卓真 藤田医科大学, 保健衛生学部, 講師 (50815074)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 頚髄損傷 / ロボットリハビリ / 歩行 |
研究実績の概要 |
本研究全体の目的は、頸髄損傷者に対する装着型歩行支援ロボットWearable Power Assist Locomotor(WPAL)を用いた自立歩行獲得に向けた、歩行動作の適切な時期での左右への重心移動を獲得する練習手法の構築とその有用性の検討を行うことである。 2023年度の目標は、WPAL歩行の習熟者を対象として、WPALの歩行周期と歩行者の重心移動時期との関係性を明らかにすることであった。本年は、2022年度に構築したWPAL制御器からの歩行周期データと、実際の足底部と床面との接触データを、同期計測システムを用いて習熟者を対象にデータ収録を行った。対象者には、WPAL装着下で直線10mの自立歩行が習熟するまで練習を行わせ、習熟後に10m歩行の計測を行うように指示した。得られたデータのうち10歩分を解析データとして採用し、WPAL歩行周期データの足底接地時期と、実際の足底部と床面との接触データから算出された足底接地時期の差、およびWPAL歩行周期データにおける両脚支持期内に足底接地できた割合を算出した。WPAL歩行周期データの足底接地時期を基準(0秒)に、実際に行った足底接地時期の中央値(範囲)は、0.16秒後(-0.02~0.42)であった。歩行周期データの両脚支持期内に実際の足底接地を行えた割合は、96.7%であった。WPALの両脚支持期中は、WPALの下肢関節運動が一定角度を維持しており、歩行中に安定した立位姿勢を保持しながら足底接地が行える時期である可能性が示唆された。 この結果は、WPAL歩行の未習熟者において歩行時の重心移動時期の指標となると考えられる。2024年度には、WPAL歩行の未習熟者を対象として、WPAL自立歩行獲得過程における、重心移動時期の経時的変化を明らかにする。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究全体の目的は、脊髄損傷者の歩行再建を達成するために開発された装着型歩行支援ロボットWearable Power Assist Locomotor(WPAL)を用いて、頸髄損傷者の自立歩行獲得に向けた歩行動作の適切な時期での、左右への重心移動を獲得する練習手法の構築とその有用性の検討を行うことである。2022年度に構築したWPALの歩行周期と歩行者の重心移動時期との同期計測システムを用いて、2023年度は、WPAL歩行の習熟者を対象として、WPALの歩行周期と歩行者の重心移動時期の関係性を明らかにするため、WPAL習熟者が歩行周期のどの時期に重心移動を行うかについて予定通り明らかにした。2024年度は、WPAL歩行の未習熟者を対象として、WPAL自立歩行獲得過程における、重心移動時期の経時的変化について検討する。
|
今後の研究の推進方策 |
初年度の研究で、WPALの歩行周期と歩行者の重心移動時期との同期計測システムが構築できた。2023年度は計画通り、WPAL習熟者が歩行周期のどの時期に重心移動を行うかを検討した。対象者であるWPAL習熟者の募集と練習に時間を要したものの、習熟者の傾向は明らかにすることができた。2024年度はWPAL歩行の未習熟者を対象とするため、十分な安全を確保しながら検討を進める。実験や解析システムは、これまでと同様に行えると考えている。2024年の研究費の主な使途は、解析ソフトや成果報告費用、2025年度を見据えた実験準備器具の購入を予定している。その他は、研究の進捗に伴って、さらなる改良が必要となった際に購入を検討する。
|