研究課題
本年度は、健康関連QoL(HRQOL)に対する回復期心臓リハビリテーション(CR)の効果について、フレイルの有無別に検討を行った。2015年11月から2018年5月までに順天堂医院で回復期CRに参加し150日間の保険期間を完遂した115人の患者(平均年齢:65.3±13.2歳、男性:71%)を登録した。 HRQOLは、SF-36を用いたアンケート調査を実施し、CRの開始時と終了時で前後評価を行った。CR 開始時の基本チェックリストの結果に基づいて、患者をフレイル群(n = 57; 49%)、プレフレイル群(n = 33; 29 %)、および非フレイル群(n = 25; 22%)の3つに分割し、CRの効果について比較検討を行った。3群間で、年齢、性別、冠動脈危険因子の有病率、および左心室駆出率に有意差は認めなかった。 全体として、78人(68%)が HRQOLの改善を示した。身体的要素と精神的要素の両方の要約スコアに有意な改善があり(P<0.05)、3群間に有意差は認めなかった。またフレイル群においてのみ、一般的な健康状態の改善に有意な差が見られた(p=0.03)。CRを受けている高齢患者では、フレイルの有無にかかわらず、HRQOLの改善を認めた。特に虚弱な高齢患者においては、健康状態に関して改善がえられた。これらの知見は、心リハプログラムの個別性を検討する際に重要な知見と考えらえた。
2: おおむね順調に進展している
コロナ感染状況の改善より、回復期心臓リハビリテーションのプログラムが再開され、被検者の登録も開始できている。
本年度の研究計画であった、フレイル、プレフレイルの実態調査はおおむね順調に遂行することができた。次年度以降、より多くの研究参加を行い、画像評価、病態解析を進めていく。
今年度は画像検査、SRL検査の実施がなかったため次年度に予算を移行した。次年度のリハビリ機器、画像検査、SRL検査で使用予定である。
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