現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高齢大腸癌患者の周術期身体機能変化の評価と同様に、術前に重篤な併存疾患を有する高齢大腸がん患者に対する適切な治療方法の選択も重要である。そこで本年度はASA3-4高齢者の大腸がん切除術の治療成績を検証した。 方法は、2013年10月から2018年3月の間に大腸がんの切除術を受けた65歳以上の患者を対象。ASA1-2とASA3-4の2群に分け治療成績を後方視的に比較検討。 結果は、症例は228人,ASA3-4は64例(52%),ASA1-2は164例(48% )。 年齢の中央値はそれぞれ72歳と75歳。併存疾患の内訳は,ASA3-4群は循環器系43例(67%), 呼吸器疾患25例(39%),肝疾患3例(5%),腎疾患3例(1%), 糖尿病13例(20%), ステロイド使用9例(14%)。ASA1-2の併存疾患の内訳は,循環器系24例(15%), 呼吸器疾患14例(9%), 肝疾患2例(1%),腎疾患1例(0.6%), 糖尿病12例(7%), ステロイド5例(3%)。周術期治療成績は、Clavien-Dindo Grade3以上の合併症は9例(14%), 14例(9%)、在院死亡はそれぞれ1例ずつ認めたが両群で有意差は認めなかった。合併症の内訳は、ASA3-4で肺炎が2例(3%)、SSIが6例(9%)と有意に多く、出血、縫合不全の発生率は有意差なし。 長期成績では、観察期間中に現病死は25例、他病死は16例、転院などによる消息不明は34例に認めた。生存期間平均値はASA3-4が1290日, ASA1-2が1557日 (p<0.01)。ASA3-4群でも平均術後生存期間は3年以上認められ適切ながんの切除術を選択する必要がある。
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