研究課題/領域番号 |
22K11445
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
木村 貞治 信州大学, 学術研究院保健学系, 教授 (70252111)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 地域在住高齢者 / Four square step test / 転倒予防 |
研究実績の概要 |
令和4年度に開始した本研究は、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初予定していた地域在住高齢者に対するステップトレーニングの縦断的な介入を実施できない状況であったため、研究計画を見直し、新たな研究課題として、地域在住高齢者を対象に過去の転倒歴より転倒経験群と転倒非経験群の2群に分け、Four square step test(以下、FSST)のステップ動作における方向別の運動学的パラメータを定量的に解析・比較することによって、転倒リスクスクリーニングの具体的な指標をステップ動作の運動学的特性に基づいて明らかにすることとした。 令和4年度は、フィールド調査にむけての準備的作業として、①Four square step test(以下、FSST)のステップ動作時の運動学的パラメータの解析方法の確立と、②測定のためのフィールド調査場所の確保を進めてきた。運動学的パラメータの測定方法については、可搬性に優れているOptiTrack社製の3次元動作解析装置(V120:Trio)とキッセイコムテック社製のモーションキャプチャーソフト(Toe clearance Measure System)、データ統合解析プログラム(KineAnalyzer)を用いることで、FSSTのステップ動作時のステップ幅、ステップ速度、トゥクリアランスの運動学的パラメータを解析する方法を確立できた。また、簡便に設置できるため地域の施設に持ち運びができ、設置のための準備時間も短縮できた。測定のためのフィールド調査場所は、松本市の協力の下で総合体育館における運動教室や、松本市の各地区の福祉ひろばにて、地域在住高齢者の参加協力依頼をポスター掲示並びに複数回の研究説明会にて行った結果、地域在住高齢者の参加協力を得ることができ、横断的観察研究を前に進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の取り組みとしては、新型コロナウィルス感染症の影響により、当初予定していた地域在住高齢者に対するステップトレーニングの縦断的な介入は実施できない状況であったため、研究内容の見直しを行い、地域在住高齢者を対象に過去の転倒歴より、転倒経験群と転倒非経験群の2群におけるFour square step test(以下、FSST)のステップ動作における方向別の運動学的パラメータを定量的に解析・比較し、転倒リスクの具体的な要素をステップ動作の特性に基づいて明らかにする横断的調査を実施することとした。具体的には、松本市福祉ひろばのコーディネーターが集まる会議に出席し、横断的調査の目的と内容に関する説明会を実施することで、横断的なフィールド調査として、地域在住高齢者66名の参加協力を得ることができた。また、松本市のスポーツ推進課が担当する運動教室(シニア健康教室、ちょこっとライフアップタイム)より、地域在住高齢者17名の参加協力を得ることができた。測定内容は、①転倒状況の調査、②転倒リスクスクリーニングテスト、③体力測定とした。現在、松本市福祉ひろばにおける地域在住高齢者の測定は、8割ほど進めることができたため、残りの測定とデータ解析を行うとともに、協力いただいた参加者に対して結果をフィードバックするために個人ごとの測定結果用紙の作成を準備している段階である。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、地域在住高齢者を対象とした松本市福祉ひろばにおけるフィールドでの測定を継続する。また、測定から得られたデータをもとに、転倒の有無・頻度・場所・方向、転倒リスクの有無、基本的体力要素(下肢筋力、バランス)とFSSTのステップ動作の運動学的パラメータ(ステップ幅・速度、トゥクリアランス)との関連性から地域在住高齢者における転倒経験群と非転倒経験群の2群の転倒リスクの具体的な要素をステップ動作の特性に基づいて明らかにするための解析方法の確立を目指す。令和6年度は、令和4年度および令和5年度に収集した測定データの総合的な解析を行い、地域在住高齢者のステップ動作の運動学的特性と基本的体力要素との関連性を指標とした簡易的で定量的な転倒リスクスクリーニング方法の提言を行うとともに、地域在住高齢者の転倒予防を目的とした課題特異性を考慮したステップトレーニングの必要性と具体的な方法論の提言を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
松本市福祉ひろばにおける測定が令和5年度にまたがることとなったため、測定補助者の人件費等を繰り越すこととなった。
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