研究実績の概要 |
[目的]遷延性意識障害例を対象とした軽頭蓋直流電気刺激(tDSC)の効果を検証するため、医師の指示に基づきtDCSが実施された症例の実施前後の意識障害の推移を後方視的に調査した。[方法]対象はtDCSが施行された遷延性意識障害例4例である。治療効果は遷延性意識障害重症度を把握するためのスケールであるComa Recovery Scale - Revised(CRSR)を用いた。解析はグラフ理論に基づく解析にて各種構造的結合性指標を算出した。対象となった症例のtDCS実施後のCRSRの個々の変化をみた。[結果]CRSRは、症例a Baseline 13,実施後 13、症例b Baseline 20, 実施後 23、症例c Baseline 12, 実施後 18、症例d Baseline 20, 実施後 20であった。baselineからtDCS刺激後に改善がみられた症例b,cを改善群、症例a,dを非改善群として2群の脳内結合性指標を比較した。 群:初回CRSR;tDCS実施後の変化量;Strength;Clustering coefficient;Transitivity;Global efficacy;Rout efficacyの順に表記し、改善群:16;4; 1883.985; 1657.713;29.463;68.880;0.0939, 非改善群:16.5;0;3448.130;205.669;45.712;71.485;0.0525であった。 [考察]改善群ではRout efficacyにおいて高値となる傾向が見られた。一方でStrength, Clustering coefficient, Transitivity, Global Efficacyは非改善群の方がむしろ高い傾向がみられた。しかしこの結果は少数例の比較によって得られた結果であり統計学的検定は行われていない。そのためこれらの結果が事実であるかを明らかにするために継続的調査が必要である。
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