研究課題/領域番号 |
22K11460
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研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
山田 尚基 東京慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (90756149)
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研究分担者 |
安保 雅博 東京慈恵会医科大学, 医学部, 教授 (00266587)
新見 昌央 日本大学, 医学部, 教授 (30760970)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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キーワード | パーキンソン病 / 経頭蓋磁気刺激 / 歩行障害 / パラボリックコイル / リハビリテーション / 姿勢反射障害 |
研究実績の概要 |
パーキンソン病(PD)は、本邦で15 万人以上の患者がいる進行性の神経難病である。PDの診断と治療は難渋することが多い。また、PD患者の歩行障害の主たる要因の一つに、姿勢反射障害がある。この点に注目し、重心動揺リアルタイムフィードバック装置「BASYS」(テック技販製)を併用したリハビリテーション治療トライアルを行った。歩行に障害をきたしているPD患者である。通常のリハビリテーション治療に加え、BASYSを用いて重心動揺を、本人の知覚にのぼらないレベルで増幅または減弱させ、立位姿勢調整における随意調節と反射調節のバランスの改善を促した。すなわち、対象者は、BASYS 上で立位姿勢をとり、足圧中心(center of pressure:COP)の前後方向と正/逆方向にフィードバックを受けた。フィードバックゲインはCOP動揺量の10か15%の段階を中心に選択した。効果判定は、(1)UPRDS (part Ⅲ) (2)歩行速度・歩数(10m歩行評価) (3) Functional Reach Test (FRT) (4)Visual analog scale方式(1-10)での歩行のしやすさと立位・歩行時の不安定感 (5)足圧・重心動揺測定 にて行った。歩行の安定性が向上し、重心動揺面積の減少・バランス能力の向上を認めた。姿勢反射能力が向上したことで、自律的な姿勢調節が可能となり、適正な重心動揺の範囲に調整することで、姿勢改善や歩行改善に至ったものと考えられた。立位姿勢に対する調整的介入は、自律的な姿勢調節を促す上で有効となる可能性が示唆された。本研究の成果はPDやパーキンソニズムといったドーパミン分泌欠乏に起因する疾患への新たな治療の評価介入として有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナウィルス感染対策により、面会がほぼできない状況下であったために、 パーキンソン病患者とその家族は入院しての治療を懸念し、現段階では治療の全段階である評価介入を実施している状況である。これから面会制限も解除されていく見込みであり、 本格的に経頭蓋磁気刺激療法をパーキンソン病患者に治療応用可能と考えている。
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今後の研究の推進方策 |
面会制限解除が見込まれ、これから経頭蓋磁気刺激療法の入院治療が実施できるものと推測される。
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次年度使用額が生じた理由 |
重心動揺測定かつ介入可能な装置購入のために前倒しでの使用額を増やしていたため。 今後は必要な装置はあるため、研究を予定通り進めていく。
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