研究課題/領域番号 |
22K11494
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
藤本 敏彦 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (00229048)
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研究分担者 |
久保 均 福島県立医科大学, 保健科学部, 教授 (00325292)
田代 学 東北大学, サイクロトロン・ラジオアイソトープセンター, 教授 (00333477)
伊藤 浩 福島県立医科大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20360357)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | PET / 筋活動 / 下腿三頭筋 / 脳活動 |
研究実績の概要 |
初年度は、研究準備の関係で、自施設で実施可能であった「下腿三頭筋の個々の筋活動のマッピング」を先に実施した。6名の若年アスリートを対象として18F-FDG PETの測定を行った。実際には、18F-FDG投与前の15分間と投与後の約25分間を「安静条件」または「運動負荷(カーフレイズ運動)条件」で過ごしてもらったのちPET撮像するプロトコルを実施した。各被験者には2種類の条件の両方を経験していただき、6ペアのデータを収集した。その結果、これまでの通説であった「下腿三頭筋は一体となって活動する」という仮説を否定する結果が得られた。多くの被験者(6名中5名)において、「ヒラメ筋<腓腹筋内側頭」の傾向が観察されたが、そのうちの1名では腓腹筋内側頭と外側頭の活動性が同程度であった。また、ごく一部の被験者(6名中1名)では「ヒラメ筋>腓腹筋内側頭」という全く逆の傾向が示された。このように下腿部の筋肉の使用パターンには大多数の被験者で似たような傾向がある一方で、一部の被験者では大きな個人差も見られることが判明し、下腿部の筋肉の活動パターンに関してバイオメカニクスを新たに補完するデータを収集することができたと考えられる。 加えて、脳活動に関しては、「安静条件」または「運動負荷(カーフレイズ運動)条件」の6ペアのデータにpaired t-testを適用してボクセル単位の解析を行った。一時運動野と小脳中部における有意な賦活が観察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り、6名の若年アスリートを対象として18F-FDG PETの測定を実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、自施設で実施した「下腿三頭筋の個々の筋活動のマッピング」を継続的に進めて、6名の(運動習慣がない)若年を対象として18F-FDG PETの測定を行う計画を立てている。アスリートにおける共通の傾向性と個人差のパターンが、運動習慣のない被験者でも再現されるのかどうかを検証する計画である。脳活動に関しても、これまでと同様に「安静条件」または「運動負荷(カーフレイズ運動)条件」の6ペアのデータにpaired t-testを適用してボクセル単位の解析を進める予定である。 加えて、福島県立医科大学で実施予定のPET/MR装置を用いた測定については、今年度中に倫理審査と施設利用の申し込み手続きを進めて、データ収集を開始する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
18F-FDGが比較的安価であったこと、また福島県立医科大学におけるMRS-PETがコロナ禍の影響で実施できなかったため使用料や旅費が残額として生じた。研究自体は東北大学サイクロトロンRIセンター所有のPETスキャン装置でほぼ行えることができた。しかし研究目的を果たすためには福島県立医科大学におけるMRS/PETを使用することが必要で、2023年度は予定通り研究を遂行する。そのため2022年度に使用しなかった額に加え、2023年度に本来使用を予定していた額を使用する計画である。
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