研究課題/領域番号 |
22K11496
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
牛木 隆志 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (80579152)
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研究分担者 |
望月 友晴 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (00773607)
川瀬 知之 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (90191999)
田中 孝明 新潟大学, 自然科学系, 教授 (00217043)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 多血小板血漿 / ポリリン酸 / 血小板 / 再生医療 / アスリート / ATP / ミトコンドリア機能 / 性差 |
研究実績の概要 |
自己多血小板血漿(PRP)療法は、創傷治癒機構を人為的に再現するという発想のもとに開発された組織再生療法であり、アスリートの肘や膝の治療への貢献が期待されている。しかし、PRP治療の最大の欠点は、効果の乏しい症例を事前に見極めることができないことであり、そこが治療法選択時にアスリートの悩みどころになっている。このため、本研究ではアスリートPRPの特性を明らかとすることでPRPの治療予知性を高めると共に、アスリートに有効性の高いPRP治療プロトコールの開発を目指す。 今年度はPRP品質の男女の性差についても明らかにした。男性プロアスリートでは男性非アスリートと比してPRP 内で血小板由来の再生因子である血小板第4因子(PF4)が高いことを示した。また、女性アスリートには「利用可能エネルギー不足」「無月経」「骨粗鬆症」といった女性アスリートの3主徴と称される健康管理上の問題点があり、男性アスリートと女性アスリートでは性差に伴う体質の差異がPRPの性質の違いをもたらしている可能性が指摘されていた。このため、男性アスリートおよび女性アスリートにおける性差によるPRP性質の違いについて検討を行った。その結果、男性アスリートでは血小板由来成長因子(PDGF-BB)、PF4を含めた血小板由来の成長因子が、女性アスリートではIL-1βといった炎症性サイトカインが高いことを見出した。これらの知見から、アスリートPRP治療時の再生メカニズムに男女差を認め得る可能性が示唆された。また、女性アスリートおよび女性非アスリートの群間でも同様に、女性アスリートでIL-1βなどの炎症性サイトカインが高かった。以上から女性アスリートのPRPは女性アスリート特有の再生メカニズムを有している可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
国際誌に多くの論文発表を行い、今後の臨床研究につながる重要な所見が得られたため。
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今後の研究の推進方策 |
PRP中の血小板機能についてさらに解析を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定以上に研究が進んでおり、研究遂行中に別途に新規予算を獲得できたため、今年度は論文掲載料などの負担が軽減できた。次年度の論文投稿は既に複数報が予定されており、次年度の掲載費用を含む研究費として使用する。
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