研究課題/領域番号 |
22K11500
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研究機関 | 札幌国際大学 |
研究代表者 |
小林 秀紹 札幌国際大学, スポーツ人間学部, 教授 (40280383)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 競技パフォーマンス / 機械学習 / 時系列分析 / 動的時間伸縮法 / キネマティクス |
研究実績の概要 |
本研究の目的はスポーツ競技における動作のキネマティクスデータに対して,機械学習であるDTW(動的時間伸縮法)を適用し,競技パフォーマンス動作特性の識別と類型化を行い,個人の特徴を抽出し個人内変動を計量化し,パフォーマンスの成就確率を提供する効果的なフィードバックシステムを構築することである. 令和4年度の計画はカーリング選手を対象に慣性センサとマーカーレスモーションキャプチャシステムにより,デリバリー動作におけるキネマティクスデータを得て,条件間の変量間類似度および個人内変動を解析し,デリバリー動作の条件による識別および類型化と条件間の個人内変動を明らかにすることであった.そのうち,キネマティクスデータに対して多次元時系列パターン分析を適用し動作特性を識別する,個人の動作特性を視覚的に表現し,数量化する,得られたデータについてカーリング動作における非線形関係についてパターン生成の分析を行う,について予定どおり実施した. 本研究の結果,速いストーンを投じるにはハックを力強く蹴る以上に蹴る際の動作速度が重要と考えられた.また,股関節を中心とする動作速度の素早さがストーン速度と関連しており,一連の動作の速やかな達成がストーン速度に影響すると推測された.動的時間伸縮法(DTW) によってキネマティクス変量によるフォームの個人特性を検討した結果,最もストーン速度が速かった2選手間の類似度よりも,最もストーン速度が遅かった選手と最もストーン速度が速かった選手間においてより類似度が高かった.従って,パフォーマンスの高さは必ずしも同様な動作を形成することには繋がらないと推測された.ストーン速度の上位群と下位群を分離するためにカーネル法によるサポートベクターマシン(SVM)を適用した結果,ハック踏力の立ち上がり速度(率)と股関節角速度によってストーン速度の上位と下位が適切に分類された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
導入予定だった慣性センサはメーカーの仕様が変更となり,慣性センサの代替え案を検討するために時間を要したが,映像によるマーカーレスモーションキャプチャによるデータ取得は予定どおり行うことができ,計画していた分析は概ね実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
現在はRおよびPythonによって分析を進めているが,今後各種機械学習のプラットフォームを検討し,生成AI等により本研究課題を推進するうえでより適切な開発環境の構築を進める.カーリング競技におけるキネマティクスデータの他,アイスホッケー競技の動作におけるキネマティクスデータの取得を進める. 同時にAR,VRグラスによるフィードバックシステムの確立を目指し,取り組む.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初購入を予定していた慣性センサーはメーカーから仕様の変更が通達され,現在手持ちのセンサーと互換性がなくなった.そのため代替の慣性センサーを導入する考えであったが,当初予算を大幅に超えることが判明した.従って,キネマティクスデータの取得方法を根本から見直し,慣性センサーに代わる予算内で対応可能な方法として,映像分析によるキネマティクスデータの取得をメインに計画するに至った.これらの計画変更に伴い時間を要し,次年度使用額が生じた.
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