研究課題/領域番号 |
22K11501
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研究機関 | 亜細亜大学 |
研究代表者 |
東浦 拓郎 亜細亜大学, 国際関係学部, 准教授 (50436268)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 体力 / 認知機能 / 実行機能 / ドリブル / リフティング / サッカー / アスリート |
研究実績の概要 |
オープンスキル種目において優れたパフォーマンスを発揮するためには,各種体力要素に加え,味方選手や相手選手,ボールの位置や動きなど,刻々と変わる周囲の状況や戦術に応じて瞬時に適切な状況判断が要求される。これらの能力の基盤となるのは認知機能,特に実行機能と呼ばれる高次認知機能であることから,本研究は実行機能の向上に寄与する体力要素の同定と,状況判断力を高めるトレーニングプログラムの開発を目的とした。 令和5年度は、男子ユースサッカー選手22名を対象に体力(スピード,敏捷性,跳躍力,全身持久力),ドリブル及びリフティング技術,認知機能(視覚弁別,抑制,作業記憶)測定を6ヶ月ごとに行った。そして,体力・ドリブル・リフティング技術の各変数と各認知機能テストの成績の変化率について,年齢及び競技歴を交絡因子とした偏相関分析を行った。 その結果,体力・ドリブル・リフティング技術と認知機能テストの成績の変化率に有意な相関関係は認められなかった。このことから,日常的にトレーニングを行っている男子ユースサッカー選手においては,6ヶ月間の体力・ドリブル・リフティング技術と各認知機能の向上に関係性がみられないことが示唆された。 実行機能を含む認知機能は,スポーツ競技における状況把握・判断のみならず,学力や社会的スキルを支える重要な機能である。令和5年度はポジティブな成果が得られなかったものの,トレーニング期間の延長,トレーニング内容や参加者のトレーニング歴などを精査し,詳細に分析を進めることで,実行機能を高めるトレーニングプログラムの開発の一助となるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
仮説通りの結果は得られていないが,研究計画通りに実験実施ができ,おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度の研究結果を踏まえ,令和6年度も継続的に体力・ドリブル・リフティング技術と認知機能の測定を実施することで,トレーニング期間の影響について明らかにする。また,参加者の競技歴,競技力について精査し,参加者の要因の影響についても検討する。そして,令和4年度及び令和5年度の成果と併せ,「アスリートの状況判断力を高めるトレーニングプログラム」を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
怪我や病気などにより測定を欠席する参加者が少なかったため,調査予備日をあてることなく,想定よりも少ない日数でデータ収集を完了した。その結果,調査旅費に要する経費が少なく,次年度使用額が生じた。これらの研究費は,次年度予定している実験に必要な消耗品やデータ分析・考察のための研究資料,研究補助員(アルバイト)の雇用に使用する。
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