オリンピアンのゲノムワイド関連解析：競技力関連領域は疾病リスク要因となるか？

2023 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 22K11506
• 研究機関: 日本体育大学
• 研究代表者: 菊池 直樹 日本体育大学, 体育学部, 准教授 (10739478)
• 研究期間 (年度): 2022-04-01 – 2025-03-31
• キーワード: 遺伝子多型 / レスリング選手 / GWAS / ゲノムワイド関連解析 / エンリッチメント解析 / アスリート

研究実績の概要

本年度は、特にレスリング選手を対象にオリンピック出場レベル（シニアの国際大会出場者も含む）41名と一般者306名を対象にゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。GWASは、東芝に委託しJaponica array V2を用いて行った。その結果、有意水準(p<5×10-8)に達した遺伝子多型が31個、サジェスティブライン(p<5×10-5)に達した遺伝子多型は、487個同定された。その後、GWASで同定された遺伝子リストを用いてエンリッチメント解析を行った結果、健康リスクとして血圧や糖尿病などに関連することが示された。P値が低かった多型としてrs7659723やrs7131056が上がっており、これらは高血圧やうつとの関連性が報告されている。また、GWASの解析を行った対象者とは別にレスリング選手100名およびロシア人トルコ人レスリング選手100名を対象として再現性試験の準備も整っている。今後は、健康指標に関連する遺伝子多型が、引退後のアスリートに影響するのかを検証する予定である。

現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

GWASによる関連遺伝子多型の抽出が終了している。

今後の研究の推進方策

GWASの解析を行った対象者とは別にレスリング選手１100名およびロシア人トルコ人レスラー100名を対象として再現性試験の準備も整っている。今後は、健康指標に関連する遺伝子多型が、引退後のアスリートに影響するのかを検証する予定である。

次年度使用額が生じた理由

論文発表の準備に関わる費用について使用していなかったため、次年度に繰り越す予定である。

研究成果

• [雑誌論文] The Association between ACTN3 R577X Polymorphism and Range of Motion: A Systematic Review and Meta-analysis (2023)
  • 著者名/発表者名: Saito Mika、Zempo Hirofumi、de Almeida Kathleen Yasmin、Homma Hiroki、Kikuchi Naoki
  • 雑誌名: International Journal of Sports Medicine 巻: 44 ページ: 618～624
  • DOI: 10.1055/a-2035-8300
  • 査読あり
• [雑誌論文] Association of <i>MMP3</i> gene polymorphism and sex on recovery of muscle strength after eccentric exercise (2023)
  • 著者名/発表者名: Deguchi Minoru、Homma Hiroki、de Almeida Kathleen Y.、Kozuma Ayumu、Saito Mika、Tsuchiya Yosuke、Kouzaki Karina、Ochi Eisuke、Okamoto Takanobu、Nakazato Koichi、Kikuchi Naoki
  • 雑誌名: Journal of Applied Physiology 巻: 135 ページ: 527～533
  • DOI: 10.1152/japplphysiol.00333.2023
  • 査読あり
• [学会発表] A novel locus for predisposition to muscle strain injury identified using a GWAS for muscle stiffness. (2023)
  • 著者名/発表者名: Miyamoto-mikami, E., Zempo, H., Hirata, K., Kumagai, H., Kikuchi, N., Kamiya, N., Miyamoto, N., Fuku
  • 学会等名: ヨーロッパスポーツ科学会議
  • 国際学会
• [学会発表] Association between the GALNTL6 polymorphisms and power-oriented athletes. (2023)
  • 著者名/発表者名: Kozuma, A., Zempo, H., Saito, M., Homma, H., Deguchi, M., Saito, A., Matsumoto, S., Matsumoto, R., Okamoto, T., Nakazato, K., Kikuchi, N.
  • 学会等名: ヨーロッパスポーツ科学会議
  • 国際学会
• [学会発表] Association between ACTN33 R577X polymorphism and muscle strength and power performance: a systematic review and meta-analysis. (2023)
  • 著者名/発表者名: Saito, M., Zempo, H., De Almeida, K.Y., Homma, H., Mochizuki, Y., Deguchi, M., Kozuma, A., Saito, A., Tashiro, S., Kikuchi, N.
  • 学会等名: ヨーロッパスポーツ科学会議
  • 国際学会
• [備考] KIKULAB S&C Research Team
  • URL: https://kikulab-nssu.com