研究課題/領域番号 |
22K11513
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
本多 賢彦 近畿大学, 医学部, 助教 (10455545)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 骨格筋 / 遅筋 / 好気的代謝 / トランスジェニックマウス / ノックアウトマウス / 持久力 |
研究実績の概要 |
昨年度実施した、通常飼育下の各遺伝子型マウス(Vgll2欠損(KO)、筋特異的Vgll2過剰発現(mTg)、および野生型(WT)対照)についてのトランスクリプトーム解析により、Vgll2が骨格筋の好気的代謝調節に関与することが示唆されたため、本年度は、Vgll2発現量とミトコンドリア機能との相関性についての解析に着手した。その結果、ミトコンドリアDNA含量、および酸化的リン酸化複合体構成因子のタンパク質レベルは、Vgll2の発現量と正の相関を示した。加えて、mTgおよびWTマウスより筋線維を単離し、細胞外フラックスアナライザーを用いて呼吸能を評価したところ、mTg由来筋線維の最大呼吸量は、WTのそれと比較して有意に上昇していた。以上により、Vgll2が骨格筋の酸化的代謝能力の向上に寄与することが明らかになった。一方で、4週間の持久トレーニングを各遺伝子型マウスに行わせたところ、期間中のトレーニングによる体重増加の抑制効果はmTgで最大化された。このメカニズムを探索するために、昨年度から継続して行っているトレーニング群マウスのトランスクリプトーム解析を、mTgについても行った。しかしながら、KO、WT、mTgのいずれの遺伝子型においても、恒常的な好気的代謝関連遺伝子の発現上昇は認められなかった(対通常飼育群)。そこで、単回の持久運動に対する急性的な応答に着目し解析を行ったところ、Vgll2タンパク質の増加が認められた。さらに、単回持久運動後のmTgマウスでは脂質利用を促進する遺伝子群の発現上昇が認められた。一方で、ミオシン重鎖遺伝子の発現には変化が認められず、Vgll2による代謝関連遺伝子の発現制御が、線維タイプ制御とは独立して行われていることが示唆された。加えて、これらの運動に対する急性応答の効果が蓄積が、トレーニング時の体重増加抑制につながることも示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の解析により、Vgll2の筋代謝調節因子としての機能が明らかとなった。加えて、持久トレーニングに際して生じる全身性の代謝適応に対して、Vgll2が寄与することも明らかとなり、そのメカニズムについても一定の示唆も得ることができた。これらの知見は、Vgll2が遅筋化の促進と好気的代謝の促進を橋渡しする分子であるという、当初の仮説を支持するもので、成果発表への道筋が見えてきたと考えている。以上の理由により判断した。
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今後の研究の推進方策 |
論文執筆などを通じて研究成果の公表を急ぐ。
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次年度使用額が生じた理由 |
試薬などの選定を慎重に行った結果、予算の縮小に成功した。次年度使用額は、成果発表に向けた準備(英文校正など)に充てる。
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