研究課題/領域番号 |
22K11521
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
伊藤 恵造 秋田大学, 教育文化学部, 准教授 (40451653)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 人口減少社会 / コミュニティ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、先行事例である垂水区団地スポーツ協会との往還分析を通じて、超高齢社会における総合型地域スポーツクラブ(以下、総合型クラブ)の活動継続のあり方を実証的に明らかにすることである。2022年度は、秋田県内の総合型クラブの実態を把握するため、県内クラブを対象とした調査を実施した。当初は全クラブへの質問紙調査を予定していたが、秋田県スポーツ科学センターがすでに実施した調査データを活用しつつ、9クラブ(県北:4、県央:3、県南:2)を対象としたインタビュー調査および参与観察を行うこととした。 調査により、以下のことが明らかになった。第一に、全国と秋田県の調査データの比較から、秋田県の総合型クラブは全国に比べて会員規模と予算規模の小さいクラブが多かった。2012年と2021年を比較すると、会員数の減少率は88.7%となっていた。また、相対的に大きいクラブの減少率が90%程度であるのに対して、会員数が「1~100人」の小さいクラブのそれが75.2%と減少の幅が大きくなっていた。 第二に、インタビュー調査および参与観察から、各クラブは会員の減少や高齢化等を理由として会の継続に困難を抱えているところが多くあることが確認できた。とりわけ、会員数が100人以下のクラブでは会員数の減少傾向が著しく、日々の活動内容よりも活動を「維持・発展」させていくことに頭を悩ませていた。 「クラブ育成率100%」をめざして、行政等からの依頼を受けて県内各地に小さなクラブが育成された。各クラブはtotoによる「創設支援」や「自立支援」等の助成を受け、各地で精力的に活動を展開してきたが、人口減少や高齢化に対処するための「自走化」を図ることは困難で、行政の支援があるクラブをのぞいては活動を縮小せざるを得ない状況にあることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、2022年度において垂水区団地スポーツ協会の実態を把握するため代表者2名(会長・副会長)を対象とした聞き取り調査を実施する予定であった。しかしながら、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、訪問調査を中止せざるを得なかった。代わりに、電話や文書による聞き取りは実施したものの、当初の予定からはやや遅れている状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、垂水区団地スポーツ協会の活動実態の把握と“クラブハウス”利用者の参与観察を行う。“クラブハウス”については、その物理的環境、利用者の概要、相互作用等を明らかにする。また、秋田県内の総合型クラブの実態をふまえ、高齢化の課題を抱えるクラブを複数選定し、参与観察に向けた準備を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大により、垂水区団地スポーツ協会の実態を把握するため調査を予定通り実施することができず、次年度使用額が生じた。2023年度には、実施できなかった調査の旅費として使用する予定である。
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