研究課題/領域番号 |
22K11530
|
研究機関 | 山陽小野田市立山口東京理科大学 |
研究代表者 |
宇野 直士 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 講師 (70713212)
|
研究分担者 |
浅野 真誠 近畿大学, 産業理工学部, 准教授 (80408707)
LOH PING・YEAP 九州大学, 芸術工学研究院, 助教 (60814952)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | ロービジョン / リスク認識 / 特性‐状態不安 / 空隙回避 |
研究実績の概要 |
ロービジョン者が実環境下を移動する際、歩行環境や同行援護者の有無、眼疾患の病態等によって視覚や聴覚、触覚等の感覚情報の重みづけは変化する。そのため、ロービジョンケア分野では近年、画一的な移動支援から複数の感覚情報を組み合わせたマルチモーダルな移動支援への転換が目指されている。 当該年度は、2種類の実験により、時間的・空間的制約下のリスク回避動作と視覚情報、心理的不安感の関係性を検証した。方法として、健常者16名を対象に求心性視野狭窄5°、10°、オクルージョン0.04の視覚状態を模擬的に再現し、視覚状態と段差またぎ動作の関係性を検証した。また、動作実行に伴い3秒間の時間的制約を設定し、その際のSTAI尺度等を用いて特性-状態不安を測定した。次に、同様の実験を視覚障がい者を対象に実施した。 一般的に、視野障害により視覚入力が減少すると、物体の知覚や姿勢制御が困難になる.上記実験結果では、保有視野が狭まり環境の情報収集が困難な視覚条件で、被験者は段差でのつまずきや空隙への転落リスクを回避するために、股関節を屈曲し足部を高く挙上させて空隙またぎ動作を企図した。一方で、オクルージョン条件により視野だけでなく保有視力も制限された条件では、保有視覚による環境情報の収集が困難となり、また移動に対する心理的不安感も一層高まった。そのため、股関節の屈曲伸展動作は抑制的になり、段差に対して探索的な行動が示された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に予定していた実験・解析を実施することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
本申請研究は視覚障害の多様な見え方と生活動作との関連性に焦点をあてるため、視覚障害者を対象とした追加実験を実施する予定である。なお、昨年度中に得られた実験データは、眼科医学や視覚リハビリテーション、健康科学系の学会において成果発表をおこなう。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今年度に投稿を予定していた国際誌を見直したことと、成果公表を予定していた国際学会1件に参加できなかったことによる。次年度にはこれらを実行し、計画通り使用する。
|