研究課題/領域番号 |
22K11532
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研究機関 | 国際医療福祉大学 |
研究代表者 |
大武 聖 国際医療福祉大学, 小田原保健医療学部, 講師 (90747180)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 有酸素運動 / 視聴覚刺激 / 主観的時間 / 外的意識 / 自律神経活動 / 感情反応 / スクリーンタイム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は健常成人を対象として、有酸素運動を行いながら音楽や動画、ゲームなどの視聴覚刺激を付加した運動方法について、付加する刺激の種類と心理的、生理的指標との関係、及び運動継続の効果を明らかにすることである。 2022年度は運動自体が感情反応に及ぼす影響を明らかにするため、健常成人73名を対象として刺激を付加しない状況下での運動の実施による感情反応の変化を測定した。運動課題は6分間歩行とし、歩行距離、%HRR、Borg scale、および感情反応(Feeling scale:-5~+5の範囲で回答し、-が不快感情、+が快感情を表す)を測定した。歩行後の%HRRは平均24.7±12.9%であったことから6分間歩行の運動強度は中等度以下であったと推測された。感情反応は歩行前が0.8±1.8で歩行中が0.2±1.8、歩行実施による感情反応の変化量は-0.6 ± 1.7であった。また、歩行中の感情反応は歩行後の呼吸のBorg scale、下肢のBorg scale、歩行前の感情反応との間に有意な相関関係を認めた。この結果から、中等度以下の強度でも運動の実施により感情は負の方向へと変化する傾向があり、また運動中の感情反応には生理的指標からみた運動強度ではなく主観的運動強度が関連している可能性があると考えられた。 さらに本課題の主な対象となる非活動的な生活をしている人の特徴を明らかにするため、「スポーツライフ・データ2020」(笹川スポーツ財団)の2次分析として、40~64歳の男女1343名のスクリーンタイム(動画の視聴やテレビゲームなどを行う時間)と身体活動量、運動習慣との関連を調査し、推奨身体活動量の非充足群は平日のスクリーンタイムが有意に長く、また座位時間が420分/日以上の群は平日および休日のスクリーンタイムが有意に長いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2022年度中には本課題の研究①「自転車エルゴメーター駆動に付加する視聴覚刺激と心理学的指標との関連」についての測定を実施する予定であったが、運動に付加する刺激として使用を予定していたテレビゲーム機器が世界的な半導体不足の影響で入手するのに時間がかかってしまい、測定の環境が整わなかった。また、年度の後半には研究活動以外の業務が多忙となり研究開始に向けた準備に時間がかかったことや、新型コロナウィルス感染対策を考慮したうえで研究協力者の参加日程を調整することが難しかったことから測定開始時期が予定よりも遅くなってしまい、年度内に予定していた計画を完了することができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
年度末になりようやく測定に使用する機器が揃い、また新型コロナウィルス感染対策による制限も緩和されてきたことにより2023年度は進行が遅延している研究①「自転車エルゴメーター駆動に付加する視聴覚刺激と心理学的指標との関連」についての測定を開始することができたため、このまま測定を進めてデータ解析を行う予定である。それに引き続き当初より2023年度内の計画として予定されていた研究②「視聴覚刺激を付加した運動プログラムの運動強度と生理学的指標との関連」についての倫理審査申請書類の準備を並行して進め、承認後は速やかに被験者募集および測定を行い、データ解析まで年度内に終えられるように進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
世界的な半導体不足の影響により研究で使用するために購入を予定していたテレビゲーム機が年度内に購入できず予定よりも物品購入金額が少なくなった。また、研究で使用する機器の調達に時間がかかったことで測定まで至らず、当初予定していた研究協力者への謝金、論文投稿費用が発生しなかった。さらに新型コロナウィルス感染拡大の影響により、学会がほとんどオンライン開催となったことにより旅費も発生しなかった。 購入が遅延していた機器は2023年度に購入し、2022年度に使用予定であった研究協力者への謝金、論文投稿料も2023年度に使用する予定である。 旅費については2023年度以降の旅費として使用する予定である。
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