研究課題/領域番号 |
22K11552
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研究機関 | 鹿屋体育大学 |
研究代表者 |
沼尾 成晴 鹿屋体育大学, スポーツ生命科学系, 准教授 (90454074)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪酸結合タンパク質 / 炭水化物 / 脂肪分解 / 有酸素性運動 |
研究実績の概要 |
脂肪酸結合タンパク質4(FABP4)は細胞内の脂質輸送や脂肪分解などに関与するタンパク質である.FABP4は主に脂肪細胞から血中に分泌され,血中FABP4濃度の増加は,代謝疾患など各種疾患の発症に関与する.有酸素性運動は,疾患の予防改善に寄与する.しかしながら,急性有酸素性運動により運動中や運動後に血中FABP4濃度は増加する.この増加は身体に好ましくない影響を及ぼすことが示唆されている.そのため,急性有酸素性運動によるFABP4濃度増加の要因を明らかにし,抑制する方策が明らかとなれば,よりよい運動処方の開発に繋がる可能性がある.血中FABP4濃度増加に関与する要因に脂肪分解が挙げられる.よって,急性有酸素性運動による脂肪分解を抑制することが血中FABP4濃度抑制につながる可能性がある.そこで本研究では,炭水化物を摂取し脂肪分解を抑制した場合と炭水化物を摂取せず脂肪分解が亢進している場合の運動中および運動後の血中FABP4濃度変化を比較した.対象者は,健常成人男性13名であった.対象者は炭水化物を摂取した後(摂取試行),および摂取しなかった(非摂取試行)後に40分間の有酸素性運動を実施した。その後,60分間ベッド上で安静にした.実験では経時的に血液を採取し,血中ホルモン,代謝産物,およびFABP4濃度を測定した.血中インスリンおよびグルコース濃度は,非摂取試行に比べ,摂取試行で運動中および運動後,有意に高値を示した.一方,血中遊離脂肪酸濃度は運動中および運動後,有意に低値を示した.血中FABP4濃度は,摂取試行および非摂取試行でいずれも運動後,有意に増加し,その増加は両試行で同等であった.これらのことから,インスリン分泌増加による脂肪分解抑制が急性有酸素性運動後のFABP4分泌に強く関与していないことが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和4年度の研究計画に,大きな変更や問題はなく円滑に進めることができた.
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は急性有酸素性運動により生じるエネルギー産生,基質酸化,および運動時間の観点から血中FABP4濃度に及ぼす影響について検討する予定である.現時点において,令和5年度の研究計画の変更等はなく,研究に向けて準備を進めている段階である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の予定よりも人件費が安価で抑えられたため、次年度使用額が生じた。繰り越した次年度使用額は物品費や検査費に使用予定である。
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