研究課題/領域番号 |
22K11579
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研究機関 | 東北学院大学 |
研究代表者 |
坂本 譲 東北学院大学, 人間科学部, 教授 (30316434)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 自発走運動 / アレルギー / 好塩基球 / サイトカイン産生 / 免疫制御受容体 / Th2免疫応答 |
研究実績の概要 |
本研究は運動によるアレルギー予防効果について検討するため、アレルギー炎症や寄生虫感染防御等のTh2免疫応答に深く関与する好塩基球(Bs)に注目し、運動によるBsの分化やサイトカイン産生能などの機能制御とその分子基盤を明らかにすること、さらに運動によるBsを介したアレルギーの制御について検討することを目的とした。本研究は運動によるアレルギー予防効果を検討するため、個体レベルと細胞レベルでの検討を同時並行して進める計画とし、計画を遂行するにあたりこれまでに以下の実験を実施した。 1)運動(一過性、長期継続)がBsに及ぼす影響の探索として、C57BL/6野生型(B6)およびTh2免疫偏向モデルマウス(B6.Pirb-KO)に対し、回転ケージを用いた長期の自発走運動を行わせ、運動の影響を検討した。また運動実施期間終了後に対象動物より血清を採取し、血中抗体価およびBsの分化増殖、サイトカイン産生をフローサイトメトリー(FCM)解析により検討した。その結果、これまでの予備検討結果と同様に両者の運動量に差異を確認した。またTh2免疫応答に影響を及ぼすサイトカイン産生の運動実施前後の変動に差異が観察された。 2)運動がBsの機能変化に及ぼす影響の探索として、自発走運動期間終了前後のマウスから骨髄、脾臓採取後に局在細胞を分離回収し、FCM解析による検討を行った。その結果、骨髄と脾臓では局在するBsに自発走運動が及ぼす影響に差異が観察された。また骨髄と脾臓ではBsの活性化状態に差異があることが知られており、これらの細胞の状態が運動に対する感受性の差異にどの様に影響するのか興味深い知見である。さらにBsへの運動による影響と同様に、骨髄および脾臓に局在する自然リンパ球においても差異が観察されていることから、これら結果は、運動がBsを介してアレルギー応答に関与する可能性を示唆するものであると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は運動によるアレルギー予防効果を検討するため、個体レベルと細胞レベルでの検討を同時並行して進める計画である。当初予定していた個体レベルでの研究計画が順調に進展したこと、また個体レベルでの解析からある程度検討予定の分子の絞り込みが進んだことから、我々の注目する組織局在細胞の機能制御に関与する分子の遺伝子発現解析に移行する予定で遺伝子解析装置の準備を進めたものの、勤務先のキャンパス移転による実験室の移転・引っ越しに起因する実験室および解析機器セットアップへの影響から、当初予定した遺伝子発現解析を進めることが出来なかったが,本年度はその遅れていた部分を進展させ前年度予定していた実験の遅れを取り戻しつつあることから。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、①運動によるアレルギー予防効果の検討、②運動によるBsの分化や機能の制御の検討について、誘導性アレルギーマウスモデルを用いて運動による病態発症の変化についての検討と運動による好塩基球(Bs)の分化や増殖、サイトカイン産生などの機能面からの検討を行い、運動によるBsを介したアレルギーの予防効果について個体レベルと細胞レベルの両面から明らかにする計画である。以下、今後予定する具体的な研究計画を示す。 1)引き続きBsの機能制御に関わる免疫制御受容体の発現探索とシグナル解析として、IL-3及びIgE抗原刺激に対してBsに発現するFc受容体、Ig様受容体など先行研究をもとに予想される活性化型および抑制型免疫制御受容体及び関連制御分子の探索及びBsに発現するPRRを介した制御シグナルの解析を遺伝子発現解析およびフローサイトメトリー解析、ウェスタンブロット解析にて行い、運動によるBsの機能変化と関与する分子群を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画立案当初は、運動によるアレルギー予防効果に関する個体および細胞レベルでの機能変化の検討にある程度の時間的予算的柔軟性をもって計画していたが、計画の進展に伴い前年度に組織局在細胞の遺伝子発現解析を中心に検討を進めていくよう計画を再構成した。しかし、実施する解析方法・機器の変更、機器セットアップの遅れ等の前年度の進展遅延の影響から本年度の実施計画に変更が生じ、その結果として次年度使用額が生じることとなった。 次年度の研究実施計画について、予定している細胞の機能解析を進めるため購入予定としている必要な試薬・消耗品等を順次購入する予定であるが、全体を通して実験実施計画および予算計画には大きく影響しないと考えている。
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