研究課題/領域番号 |
22K11593
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
西牧 未央 奈良女子大学, 生活環境科学系, 助教 (20757538)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 急速減量 / 女性アスリート / 性ホルモン |
研究実績の概要 |
レスリングや柔道などの体重階級制競技アスリートの多くは、試合前の計量に向けた極度の食事や飲水制限などにより、7日以内に体重の5%以上の体重を減らす“急速減量”を男女ともに習慣的に行っている。これまでヒトを対象とした研究により、急速減量が骨格筋量や内分泌応答に及ぼす影響について報告されているが、各臓器におけるタンパク質代謝の挙動については十分に明らかにされていない。さらにほとんどが男性アスリートや雄の実験動物を対象とした研究であり、女性アスリートを対象とした研究が行われていないのが現状である。女性において身体的精神的ストレスは性ホルモン動態に強く影響し、特に青年期以降に妊娠、出産など大きなライフイベントが待っていることからも、男性アスリートで得られた急速減量に関する知見を、性差を考慮せずにそのまま女性アスリートに適応することはできない。さらには、女性アスリートが行う急速減量に関しては、科学エビデンスよりも自らの経験や指導者のアドバイスに基づいて行うケースがほとんどであった。その背景には、女性アスリートがおこなう急速減量についての科学的エビデンスが未だ不十分である現状が存在する。ヒトを対象とした急速減量研究では、アスリートに競技大会の合間を縫って被験者になってもらい体重・血液・尿・唾液などを解析するため、大会に向けた減量に加えて更なるストレスをアスリートに与えてしまうことや、臓器ごとの代謝機構を解析することは難しい。したがって、急速減量が女性の性ホルモン分泌や各種代謝に与える影響を解明することが早急に求められている。急激な体重減少が女性の生殖機能に及ぼす影響については、多くの研究が行われてきたが、性ホルモン分泌調節、性ホルモンを介した生理機能、急速な体重減少が性ホルモン分泌調節、性ホルモンを介した生体機能、体重減少後の摂取行動に及ぼす性差について検討する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験動物には雌雄の Wistar ラットを用いた。摂食量を食事制限のないコントロールラットの平均値の50%に制限をおこなった。これまでに行った実験結果より、7日間の摂食制限により摂食制限ラットの体重は、コントロールラットの体重の約 80%まで体重が減少することが確認されている。
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今後の研究の推進方策 |
体重減少による体組成の変化をインピーダンス法で計測し、採血を行い血漿ホルモン濃(エストロゲン、テストステロン、黄体形成ホルモン、レプチン)の測定を行う。灌流固定して取り出した脳視索前野の前腹側室周囲核(AVPV)、視床下部弓状核(Arc)における、キペプチン、エストロゲン受容体、アンドロゲン受容体、レプチン受容体、神経活性化マーカーのc-Fosを免疫組織化学的に多重染色し、急激な体重減少がこれら部位の神経活動に及ぼす影響を定量化することにより、急速な減量が HPG axis のどの部位に影響して性ホルモン分泌を変化させているのかを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度4月~7月まで産休を取得しており、当初の計画を実施することができなかったため。
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