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2023 年度 実施状況報告書

対戦型スポーツにおける対人行動・集団行動の原理解明

研究課題

研究課題/領域番号 22K11619
研究機関愛知工業大学

研究代表者

澤野 弘明  愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (10609431)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードスポーツ分析 / ハンドボール / バレーボール / 卓球 / アノテーション
研究実績の概要

本研究では、対戦型スポーツにおける対人行動・集団行動の原理解明を目指し、画像解析技術を活用したプレー分析手法の開発に取り組んだ。
バレーボールの動画解析では、AutoMLツールRoboflowを用いてラリーとスパイクの検出モデルを構築する手法を提案した。ラリー開始時刻の推定結果は適合率0.73、再現率1.00であり、スパイク時刻推定では適合率0.80、再現率0.65であった。卓球の動画解析において、YOLOv8を用いてボールとプレーヤーを検出し、打球技術を分類する手法を開発した。ハンドボールでは、カメラ方向決定、コート推定などの技術を組み合わせ、攻撃数、ボール保持率、選手位置と軌跡を取得する手法を提案した。これにより、チームの攻撃パターンを定量的に評価できるようになった。さらに、Webベースのハンドボール試合分析アプリケーションを開発した。シューターの移動軌跡、役割、シュートコース、得点率、成功率などの指標を記録可能で、システム使用性評価(SUS)で平均的なスコア72.9点を上回る結果を得た。本アプリを用いて第27回ハンドボール世界選手権を分析したところ、上位チームでは前半と後半で攻撃パターンが変化することが明らかになった。得点の高いチームは守備を抜く動きが多く、低いチームでは直線的な動きが目立った。
以上の研究を通じて、対戦型スポーツにおける動作の時系列と空間的な対人・集団行動を定量評価する基盤技術を確立した。高精度な画像解析による動作検出と、動作特徴・空間情報の関連付けにより、プレーの詳細な分析が可能になってきている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実績の概要で示したように、2023年度は研究全体のなかでも重要な要素である、高精度な画像解析による動作検出、プレーの種類の分類手法の開発を行った。これらの研究内容は、原著論文2本、学会誌研究資料1本、国際会議2件、国内会議8件で発表を行った。以上のことから、本研究は概ね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

2023年度の研究成果に基づいて、2024年度では対人行動・集団行動の原理解明の手法の開発に着手する。具体的には、統計的手法・時系列分析を組み合わせて、どの事象において、行動が変化するかを明らかにする。
また、多種スポーツの知見を組み合わせて、分析手法の精度向上に努める。研究の成果を専門家と議論して、実践的な効果検証を今後進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

該当年度で購入予定だった製品の見積もりより安く購入できたことと、アンケート謝礼など、当初予定していた金額を使用しなかったために次年度使用額に移行した。次年度の予定では前年度実施できなかった手法開発のための費用として計上する。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] 放送用ハンドボール競技映像における画像処理技術による攻撃特徴の分析2023

    • 著者名/発表者名
      増田健志, 内木正紘, 澤野弘明
    • 雑誌名

      日本ハンドボール学会, ハンドボールリサーチ, 原著論文

      巻: 2023 ページ: 1-9

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 放送用ハンドボール競技映像におけるコート境界推定と選手位置・軌跡の表示手法の提案2023

    • 著者名/発表者名
      増田 健志, 澤野 弘明
    • 雑誌名

      電気学会論文誌C

      巻: 143 ページ: 1123~1129

    • DOI

      10.1541/ieejeiss.143.1123

  • [学会発表] 画像処理によるバレーボール競技分析の高速入力インフェースの提案2024

    • 著者名/発表者名
      森富稀, 澤野弘明
    • 学会等名
      第29回バレーボール学会
  • [学会発表] 水平方向の卓球映像における台上技術分類手法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      小原健輔, 加藤祥真, 澤野弘明
    • 学会等名
      第85回情処全大
  • [学会発表] バレーボール競技におけるラリー開始とスパイク時刻の推定手法の検討2024

    • 著者名/発表者名
      森富稀, 澤野弘明
    • 学会等名
      第85回情処全大
  • [学会発表] 放送用球技映像における得点表示シーン抽出手法の提案2024

    • 著者名/発表者名
      稲垣直弥, 増田健志, 澤野弘明
    • 学会等名
      映像表現・芸術科学フォーラム2024
  • [学会発表] ハンドボール試合映像の得点シーン自動抽出手法の提案2024

    • 著者名/発表者名
      増田健志, 内木正紘, 澤野弘明
    • 学会等名
      ハンドボール学会第12回大会
  • [学会発表] ハンドボールのシューター軌跡統計分析手法の提案2024

    • 著者名/発表者名
      内木正紘, 増田健志, 澤野弘明
    • 学会等名
      ハンドボール学会第12回大会
  • [学会発表] Estimation of Court Boundary and Showing of Player Trajectory using a Broadcast Handball Game Video2023

    • 著者名/発表者名
      T. Masuda, F. Mori, and H. Sawano
    • 学会等名
      KICSS 2023: The 18th Int'l Conf. on Knowledge, Information and Creativity Support System
    • 国際学会
  • [学会発表] A Proposal of a Spike Event Classification Method Based on Ball Trajectory in a Volleyball Video2023

    • 著者名/発表者名
      F. Mori, T. Masuda, and H. Sawano
    • 学会等名
      KICSS 2023: The 18th Int'l Conf. on Knowledge, Information and Creativity Support System
    • 国際学会
  • [学会発表] 放送用のハンドボール競技映像におけるチーム判定手法の検討2023

    • 著者名/発表者名
      増田健志, 森富稀, 澤野弘明
    • 学会等名
      令和5年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会
  • [学会発表] バレーボール競技映像におけるスパイクイベント検出手法の提案2023

    • 著者名/発表者名
      森富稀, 増田健志, 澤野弘明
    • 学会等名
      令和5年度電気・電子・情報関係学会東海支部連合大会

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公開日: 2024-12-25  

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