研究課題/領域番号 |
22K11620
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研究機関 | 至学館大学 |
研究代表者 |
村上 太郎 至学館大学, 健康科学部, 教授 (10252305)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | セストリン / mTORC1 / たんぱく質合成 / レジスタンス運動 / 等尺性筋収縮 |
研究実績の概要 |
低酸素、DNA傷害、酸化ストレス、低栄養など、様々なストレスによって誘導されるセストリンは、たんぱく質合成における細胞内のアミノ酸センサーであることが提案されている。レジスタンス運動によって筋肉のたんぱく質合成が増大するときに、筋肉で発現しているセストリン1がリン酸化されることに気づいた。セストリン1はアミノ酸センサーであるだけでなく、レジスタンス運動のセンサーでもあることを示唆している。昨年度の研究で、Flag融合セストリン1タンパク質をラットの腓腹筋に過剰発現させたうえで等尺性筋収縮を負荷してリン酸化を誘導した。この組織を用いて、抗Flag抗体結合ビーズを用いた免疫沈降によってリン酸化セストリン1を精製し、続いて、リン酸化プロテオームによってセストリン1のリン酸化部位を決定した。等尺性筋収縮によって、セストリン1タンパク質のN末領域とリンカー領域の2箇所のセリン残基がリン酸化されることが明らかになった。 本年度は、これらのリン酸化部位に特異的なリン酸化抗体を抗体を作製し、ウェスタンブロットでリン酸化の多寡を定量できるようにすることを目標とした。2箇所のリン酸化部位に対して、それぞれ異なる手法を用いてリン酸化ペプチドを作製し、ウサギに免疫した。抗体価の上がった77日後に全血を採取し、血清からリン酸化ペプチドを用いて抗体を精製した。2箇所のリン酸化部位を認識する抗体を用いてウェスタンブロットをしたところ、いずれの抗体を用いた場合もリン酸化特異的なバンドを検出することはできなかった。今年度の終了時点で抗リン酸化セストリン1抗体を作製することはできなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度の終了時点で、抗リン酸化セストリン1抗体を作製することはできなかったため。
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今後の研究の推進方策 |
抗リン酸化セストリン1抗体の作製は技術的に困難である可能性があるので、まずは保留とし、今後は2つのリン酸化部位の機能解析に取りかかる。アデノ随伴ウィスルベクターを用いて、マウスの骨格筋にセリン残基をアラニンやアスパラギン酸に置換したセストリン1を過剰発現させ、mTORC1の情報伝達系のリン酸化やたんぱく質剛性率を測定し、リン酸化がそれらに関与するのか否かを明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初、遺伝子導入方法としてエレクトロポーレッション法を考えており、予算としてエレクトロポーレーターの購入を計上していたが、実験の過程で、アデノ随伴ウィスルを用いて遺伝子導入するほうが実験の目的に合致していることが判明したため、エレクトロポーレーターの購入を取りやめた。計上していた予算はアデノ随伴ウィルスを調製する予算に充てる。
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