研究課題/領域番号 |
22K11627
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
清水 将 岩手大学, 教育学部, 准教授 (20547872)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | 発話分析 / 運動中の発話 |
研究実績の概要 |
授業中の発話をテキストに変換し、授業中に児童生徒がどのようなことを会話し、試行しているのかを明らかにすることが可能になれば、授業改善への有益な情報となることが推察される。しかしながら、運動中に発せられる会話を録音すること自体、容易なことではないため、本研究では、中学校の保健の授業において教室における発話を視覚化する実践を行った。 生徒には、CellularモデルのiPadを人数分用意して、有線の指向性マイクを1人ずつ装着し、議事録作成支援サービスを利用して授業中の会話を録音することによってテキスト化を行った。その結果、授業における発話のテキスト化にあたっては、クラウドで自動変換する際に大きな負荷がかかり、授業前半部の一部生徒の発話の変換に止まり、授業の様子を明らかにすることはできなかった。授業と会議では、発話の順序性が異なるので、議事録作成システムで使用されるAIでは、テキスト化することが困難であり、その際に用いられる音声変換に一般的な辞書が使用されることによって、誤変換が多く発生することが明らかになり、方言や専門用語を含めて教科や領域の特性に応じた授業の発話分析をするための専門の辞書やコーパスの作成が必要であること示唆された。実際における対話は、非論理的な言述の原理に基づくので、汎用の会議録作成システムでは授業の発話を記録することは実用的ではないということも明らかになり、対話分析することの意義や方法論を開発するために探索的に研究を進める必要性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
教室における発話の収集自体に大きな技術的な課題が多くあるが、現在のところ、条件が整備された状態での運動中の音声の録音が可能となり、今後においては、運動中の会話を解析する段階へと移行することを予定している。
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今後の研究の推進方策 |
教室における授業をフェーズ1として、室内での個別の運動時の授業をフェーズ2と考え、運動時における発話を録音する方法の開発へ取り組んでいる。これらの実践を踏まえ、フェーズ3として、室内における接触のない球技などの運動時における発話の録音及び、教師と児童生徒の発話を分離する方法を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、COVID-19による感染拡大が継続し、当初予定していた協力校や学校への出張が困難であった。しかしながら、2023年度には、COVID-19が2類から5類に変更され、学校への介入が可能になるだけでなく、授業中における会話に関する制限も緩和されることが予想されるため、研究を遂行し、データを得ることが可能になると考えており、これらに関する役務費や人件費、謝金として使用する予定である。
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