研究課題/領域番号 |
22K11633
|
研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
澤 聡美 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (80369488)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
キーワード | 子ども / 幼児 / 児童 / 架け橋期 / 保幼小接続 / 健康生活調査尺度 / 健康プログラム |
研究実績の概要 |
近年、小学校入学時に「小1プロブレム」が増加しており、姿勢が悪い、集中力がない、話が聞けない等、子供の心身の健康が危惧されている。生活リズムの悪化も指摘されているが、健康教育に関する保幼小接続は円滑とはいえず、健康・運動の観点からの検討は十分とはいえない。さらに、コロナ禍が長期化する中、幼児期及び学童期の子供の発達段階に応じた具体的な対策が急務である。 研究代表者は、2022年3月に北陸地区の幼児・小学生の保護者及びクラス担任を対象に「健康・育ち・学びに関するアンケート調査」を実施した。今年度はデータを分析し、その結果をもとに健康教育プログラムの作成及び啓発活動を実施した。 調査の結果から、クラス担任がコロナ禍の子供の健康面において最も気がかりだと回答した項目は姿勢が悪い、感情のコントロールができない、肥満ぎみであった。保護者の回答の分析からは、肥満には「よく噛んで食べる」、視力低下には「運動の実施」が関連することが明らかになった。そこで、附属小学校の栄養教諭や教育委員会保健体育科の派遣スポーツ主事らと共に健康教育プログラムの動画を作成し、富山県教育委員会を通じて県内の幼児施設、小学校に配信した。 さらに年長と1年生を対象にした調査結果から、7時以降に起床している年長児が約4割いたことから、「早寝早起き朝ごはん」運動を啓発するセミナーを開催した。セミナーの企画・運営は、教員や行政職員を目指す大学生と共に実施し、健康教育を手歌遊びで伝える等、子供たちが家庭・学校・地域等で楽しく実施・継続できそうなプログラムを作成・配信した。本研究を通して、コロナ禍の子供の健康状態を把握し、学校や行政・地域と連携し、健康教育及び保幼小接続を円滑にするための活動を実施することができた。さらに保幼小接続に関する健康生活調査尺度の作成は、日本幼少児健康教育学会誌に研究報告として掲載された。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和3年3月に研究体制を構築し、調査を実施することができたため、当初の計画以上に進展した。実施計画で示した3つの段階である、1.保幼小接続の健康に関する尺度の作成、2.健康生活調査データの分析による健康課題の明確化、3.保幼小接続の課題解決に向けた健康・生活プログラムの提示に加え、健康・生活プログラムを啓発するための資料や動画の作成及びセミナーを通して啓発活動を実施した。
|
今後の研究の推進方策 |
幼児と小学生の健康生活調査結果から、健康課題を明確化し、論文を作成・投稿した。令和5年度は、1.論文受理に向けての取り組み、2.健康・運動プログラムの精査及び教育現場での実施、3.2の保幼小接続における有用性の検討を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
論文の受理が令和4年度内に完了しなかったため、論文投稿代として、令和5年度に持ち越しをしたため。
|