研究課題/領域番号 |
22K11640
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 和弘 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (20327183)
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研究分担者 |
中西 純 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (30255179)
小山 浩 常葉大学, 健康プロデュース学部, 准教授 (60805521)
池田 英治 筑波大学, 体育系, 助教 (70726877)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | COVID-19と子どもの体力 / COVID-19前後の体格・体力 / 児童生徒の体力分布 |
研究実績の概要 |
1.研究の目的;本研究は,2020年に全世界を席巻した新型コロナウィルス感染症(以下,COVID-19)の発生が,児童生徒の体格や体力および彼らのライフスタイル等にどのような影響があるかを明らかにすることであった.そこで,本年度はCOVID-19発生前後、各3年間(発生前;2017~'19年,発生後;2020~'22年)にわたる小中学生の体格や体力データの収集を行った.研究の趣旨に賛同し,協力が得られた小学校は4校,中学校は10校であった. 2.研究方法;本年度は,2017~2022年度の6年間のデータがすべて存在していた小学校3校,中学校8校のデータを以下の手順で分析した.1)収集したデータを年度および男女別に整理し,データセットを作成した.2)これらのデータから,COVID-19発生前後の体力を比較した.この感染症による影響をみるために,ここでは発生前後各3年間のデータを一つのセットにまとめた.すなわち,2017~'19年と2020~'22年の各データである.3)これらのデータをもとに,学年および男女別に基準化された5段階の体力評価による分析を試みた.4)本年度は,小学校の小1~小6全体と中学校の中1~中3全体をプールし,次にプールしたデータを学校種別および男女別に分析した.これらはχ2検定を用いて解析を進めた(有意水準;p<.05) 3.結果;得られたおもな結果は以下の通りであった.小学生男子全体(小1~小6)で感染症発生前後の5段階体力評価は,感染症発生後に低下し,有意に低かった(p<.01). 小学生女子全体(小1~小6)も男子と同様の結果であった(p.01).一方,中学生男子全体(中1~中3)と中学生女子全体(中1~中3)でみると感染症前後の体力評価で有意な差は認められなかった.しかしながら,感染症後の5段階評価がいずれも低下傾向を示した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19発生による児童生徒への影響をみるために,本年度は長期にわたる体格および体力データとそれに関連するライフスタイル調査等のデータ収集に取り組んだ.これらのデータは,2017~2022年の6年間をターゲットにしたものである.6年間の一貫したデータが得られた小学校は3校,中学校は8校であった.小学校では,継続的に体力テストを実施している小学校でも,2020年3~5月の休校措置によって,この年度の測定ができないところが多かった.しかし,本研究の趣旨に賛同し,データの提供を快諾してくれた小学校は他に多数あった.このことを踏まえ,さらに対象地域を拡大し,小学校児童のデータを収集できるようにしていきたい.
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今後の研究の推進方策 |
・今後の研究の推進方策について 1)本研究への協力が得られた協力校とはその後も良好な関係を維持している.これを踏まえ,2023年以降のデータ収集も可能な限り実施する. 2)2017~2022年度の6年分のデータにそれ以降のデータを加味し,COVID-19が児童生徒の発育発達に及ぼす長期的な影響に明らかにする. 3)COVID-19発生前後のデータをそれぞれ縦断的に追跡し,この感染症が子どもの体格および体力に及ぼす諸要因を明らかにする. 以上
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次年度使用額が生じた理由 |
・予定していた聞き取り調査などが感染症の影響もあり、十分に遂行することが叶わなかった. ・次年度については、データ収集の地域や学校を可能な限り広げ、より掘り下げた研究を行う予定である.
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