研究課題/領域番号 |
22K11640
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研究機関 | 宮城学院女子大学 |
研究代表者 |
鈴木 和弘 宮城学院女子大学, 教育学部, 教授 (20327183)
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研究分担者 |
中西 純 中京大学, スポーツ科学部, 教授 (30255179)
小山 浩 平成国際大学, スポーツ健康学部, 教授 (60805521)
池田 英治 筑波大学, 体育系, 助教 (70726877)
青木 拓巳 宮城学院女子大学, 教育学部, 助教 (90909813)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | COVID-19と子どもの体格・体力 / COVID-19下の学校教育活動 / 体力・健康の経年変化 / 縦断データによる追跡 / 教員への聞き取り調査 |
研究実績の概要 |
1.研究の目的;本研究は新型コロナウィルス感染症(以下,COVID-19)の発生が,児童生徒の体格や体力および彼らのライフスタイルにどのような影響があるかを明らかにすることであった.本年度は昨年度に引き続き,協力が得られた小・中学校11校の感染症発生前後のデータの整理とその分析を行った.さらに,新たに協力を得た中学校1校のデータを追加した. 2.研究方法:2017~2023年度の7年間にわたる小学校3校,中学校9校のデータを以下の手順で分析した. 1)収集した7年間のデータを年度毎に学校種および学年・男女別に整理し,データセットを作成した. 2)これらのデータから,COVID-19発生前後の体力を比較した.感染症による影響をみるために,ここでは発生前後各3年間(2017~'19年と2020~'22年度)のデータを一つのセットにまとめた.さらに中学校のデータは3年間毎の縦断データセットを作成した. 3)これらのデータをもとに,年度毎に学年および男女別の体格(身長と体重),体力合計得点を算出し,児童生徒の体力全般から年度毎の傾向を検討した.4)本研究の協力校に勤務している教員6名(体育主任,学校長など)を対象にCOVID-19発生中の学校教育活動,体育授業や運動部活動の状況,保護者への対応などについて半構造化による聞き取り調査を実施した.おもな結果は次の通りである. 3.結果:1)各年度における体格およびBMIは,学年、男女を問わず,感染症発生による大きな変化はあまりなかった.2)体力合計得点は,感染症発生前後での変化が認められた.すなわち,COVID-19発生後の体力は,発生前に比べ程度の差はあるものの,学年および男女を問わず低下傾向を示した.3)COVID-19下における体育授業は,その対策が常に最優先となり,児童生徒に一定程度の身体活動量を確保することが極めて困難であった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
COVID-19発生による児童生徒への心身への多方面にわたる影響をみるために,長期にわたる体格および体力データとそれに関連するライフスタイル調査等のデータ収集に取り組んだ.研究開始時点で,これらは2017~2022年の6年間をターゲットにしたが,2023年も研究協力校を確保することができた.したがって,7年間にわたる一貫したデータ収集を行うことができ,現在,それらのデータを整備している.本年度の協力校は,小学校は3校,中学校は9校であった.また,協力校に在職している教員からこの感染症下における学校教育活動やその他について,詳細な聞き取り調査を行うことができた. 以上のことから,本研究は概ね順調に進展していると判断できる.しかし,聞き取り調査の結果を加味した多様なデータの検討や解析は,一部着手したが,十分とは言えない.今後さらに,より詳細な分析を行っていく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
・今後の研究の推進方策について 本研究は概ね順調に進展している,聞き取り調査の結果を加味した多様なデータの検討や解析は,一部着手したが,十分とは言えない.今後さらに,より詳細な分析を行っていく予定である.以下,具体的な方策を示す. 1)本研究への協力が得られた協力校とはその後も良好な関係を維持している.これを踏まえ,2024年以降のデータ収集も可能な限り実施する.また,関係教員への聞き取り調査も可能な限り実施する. 2)2017~2023年度の7年分のデータにそれ以降のデータを加味し,COVID-19が児童生徒の発育発達に及ぼす長期的な影響に明らかにする. 3)COVID-19発生前後のデータをそれぞれ縦断的に追跡し,この感染症が子どもの体格および体力に及ぼす諸要因を明らかにする. 以上
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次年度使用額が生じた理由 |
・予定していた聞き取り調査などが研究協力校の日程や教員の業務などにより十分に行うことができなかった.次年度にさらにこれらの課題に取り組む. ・データ収集の地域や学校を可能な限り広げ,より掘り下げた研究を行う予定である. ・感染症後の効果的な体育授業プログラムの構築を小中学校の教員と検討していく必要がある. 以上が,次年度に使用額が生じた理由である.
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