研究課題/領域番号 |
22K11650
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
中嶋 哲也 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30613921)
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研究分担者 |
小山 隆秀 弘前大学, 大学院地域社会研究科, 客員研究員 (00898124)
足立 賢二 宝塚医療大学, 保健医療学部, 准教授 (40620654)
田邊 元 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 講師 (40758588)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 崇高 / 甲冑化 / 広報文化外交 / 古武道 / 再活性化 |
研究実績の概要 |
(総説論文) ①足立賢二「現代の古武道を捉える人類学的視点の探求」『スポーツ人類学研究』,24号,日本スポーツ人類学会,2022年,pp.1ー18. (学会発表) ②中嶋哲也「新陰流の勢法・轉にみる崇高なものとその問題点」『日本スポーツ人類学会第24回大会プログラム・抄録集』,筑波大学主管,2023年,p.34. ③足立賢二「広報文化外交における古武道」『日本スポーツ人類学会第24回大会プログラム・抄録集』,筑波大学主管,2023年,p.33. ①は現代における古武道の実態調査を遂行するための視点について論じたものである。従来、歴史の対象としてみなされやすく、現代においても過去の遺物かのように扱われることの多かった古武道だが、その現在の状況が問題にされることはなかった。同総説論文では、そうした古武道の現況を捉えるための視点を提出することができた。これによって、古武道の各道場を調査する足がかりが提供できるものと考えられる。②は古武道の新陰流の技である轉(マロバシ)の実践において稽古者に崇高な感情が芽生えることが調査の上からも文献の上からも確認されるので、カントの『判断力批判』をてがかりにして、新陰流では昔も今も轉がもたらす崇高な感情によって人々の生を助長するのではないかと論じた。③は外務省が古武道を文化外交に用いていることに着目し、その過程で古武道各流が各流の道着のみならず、甲冑を着て演武するようになってきていることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初、文献資料の収集は順調に進むと考えていたが、思いのほか、基本資料となり得る戦後の文献資料、特に1950ー70年代の資料が集まらなかったため、当該年度中には執筆完了予定であった、戦後の古武道組織の歴史についての論文が完成しきれず、次年度に持ち越しとなった。
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今後の研究の推進方策 |
文献資料収集が難しいという判断から、次年度は昭和期、平成期に活躍した古武道の関係者へインタビューする機会を増やす必要性があると考えている。既に2名の関係者からはインタビューの同意を得ている。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度中はまだコロナ禍だったため、相手によっては対面でのインタビューが敢行できないなど、旅費の面で使いきれないところがあった。次年度は5月からコロナ禍が明ける(コロナウイルスの2類から5類)こともあり、今年度中に果たせなかった対面での聞き取り調査など旅費のかかる研究が増えるため、こちらに次年度使用額をあてたいと考えている。
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