研究課題/領域番号 |
22K11668
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研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
野村 国彦 大阪経済大学, 情報社会学部, 教授 (80440957)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ゆらぎ / 運動 / 動作 / 点過程 / 非線形時系列 / 認知機能 / 高齢者 |
研究実績の概要 |
本研究では,運動のゆらぎが運動機能に強く関連すると仮定している.ある動作の繰り返しでは動作が同じような動作でも,同じ時間間隔で動作が完了することはなく,絶えず,この時間間隔はゆらぐ.この運動のゆらぎは年齢によっても異なる.また認知機能は年齢によって変化する.そこで,本研究は,①運動のゆらぎに注目した運動機能を示しうる変数から認知機能を推定し得るのかを明らかにし,さらには②認知機能の推定精度が高くより簡便な運動課題を見つけ出すことが目的である.令和4年度には,運動機能を示しうる変数を明らかにするために手法の開発を中心に行った.その実施状況は以下の通りである. これまでの代表者の研究において,光学系の計測システムにより得た動作軌跡のゆらぎの非線形時系列解析により,認知機能との関連性が示されている.しかし動作軌跡を連続的に計測する光学系の計測システムでは,その後に詳細な解析はできるが,その設備が施された施設に実験参加者に来てもらう必要などがあり,実験参加へのハードルを高くしてしまっている.例えば,指タッピングなどの動作を測定する場合,ノートPCを持ち運び実験できると協力者への負担を減らすことができる.そこで,令和4年度は,ある動作の開始から次の動作の開始までの時間間隔のデータから運動のゆらぎを特徴づける手法について検討した.その結果,ニューロンの活動電位を対象とした点過程時系列に対する非線形時系列解析の手法(N. Janson et al., PRE, 1998)が応用できる可能性を見出した.その後,点過程時系列の非線形時系列解析の特性を調べるために,過去に得たデータに対して再評価している段階にある.令和5年度には学術雑誌に投稿できるように準備を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2022年度は学内での用務が増加したため,当初予定していたエフォートを割くことができなかった.
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今後の研究の推進方策 |
副学部長として2年目になる令和5年度は,前年度の経験を活かし,本研究課題に対するエフォートを30%に引き戻す.そして,運動軌跡の時系列と変換後の点過程時系列に対する非線形時系列解析の結果を比較し,点過程時系列の非線形時系列解析の応用可能性を早い段階で明確にする.その後,令和4年度に開始できなかった実験によるデータ収集を開始し,当初予定していた運動機能と認知機能の相関関係を明確にするという目的を令和5年度内に達成することを目標とする.
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次年度使用額が生じた理由 |
「7.現在までの進捗状況」に記した通り,令和4年度に開始を予定していた実験を開始することができなかったため,実験系のシステムにかかわる予算を大幅に執行できなかった.令和5年度には実験を開始することとしたため,令和4年度の実験系のシステムにかかわる予算を執行予定とする.
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