研究実績の概要 |
2023年度は,研究1に付随する実験として,片脚での着地を想定し異なる膝アライメント(正常膝・内反膝・外反膝)の被験者を対象に,片脚立位時の重心動揺性を比較し,それぞれの特徴を明らかにした.膝関節に受傷経験のない健常男性名34名(正常膝:13名,内反膝:14名,外反膝7名)を対象に,重心動揺計(アニマ社製GRAVICORDER G500)上において,片脚静止立位を開眼30 秒,閉眼30 秒保持させた時の総軌跡長,単位面積長,X及びY方向の軌跡長・最大振幅及び動揺速度の平均,矩形及び外周面積を測定し,各群の平均値を算出した.総軌跡長では開眼時(正常膝:74.37±18.38,内反膝:69.16±16.62,外反膝:106.51±46.49)で外反膝と他2群間で有意差がみられた.単位軌跡開眼時(正常膝: 4.50±1.18,内反膝: 4.11±1.03,外反膝: 6.26±2.40)で外反膝と他2群間で有意差がみられた.X方向軌跡長では開眼時(正常膝:74.37±18.38,内反膝:69.16±16.62,外反膝:106.51±46.49)で内反膝と外反膝で有意差がみられた.Y方向軌跡長では開眼時(正常膝:74.37±18.38,内反膝:69.16±16.62,外反膝:106.51±46.49)で外反膝と他2群間で有意差がみられた.本結果より外反膝が他の膝アライメントと比べて重心動揺性が大きくなることがわかった.この原因について,外反膝の相対的なKnee-Inが骨盤の前傾を起こすことで,下肢の筋に不安定性を誘発し,前後の動揺性が大きくなる可能性が考えられる.本結果にみられる外反膝での重心動揺の大きさは外反ストレスに対する防御反応を引き起こす要因の一つでありACL損傷と関連するため,当該アライメントを呈する場合には,片脚立位での着地に対する対策が必要ではないかと考える.
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