研究課題/領域番号 |
22K11685
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
青木 和浩 順天堂大学, スポーツ健康科学部, 教授 (60424230)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 跳躍運動 / バウンディング / 走る運動 / 跳ぶ運動 / フィールドテスト |
研究実績の概要 |
多様な動きづくりを求められる子ども達に走跳投の動作を習得することは重要である。本研究では「跳ぶ運動」と「走る運動」に着目し、水平方向、垂直方向、横方向と異なる三方向の跳躍運動と直線走や方向転換走の走運動との関連を検証する。特に本研究では「走る運動」と「跳躍運動」の運動内容を幅広く実施し、小学生に有効な跳躍運動の選定を試みたい。さらにその種目が測定や運動内容として汎用性が高い運動を提案していきたい。令和4年度は、第一段階として「大学生を対象とした測定種目の選定(事例的検証)」の取り組みを行った。具体的には三方向の様々な跳躍運動や走運動の実施から種目選定の資料を得るために事例的研究として、体育系大学の大学生の中でも陸上競技の跳躍・混成を専門としている大学生(男子31名、女子26名)を対象とした。測定は、専門的な立場からも踏まえ、各測定項目の実施難易度や妥当性や再現性なども考慮しながら検証を進めた。測定した跳躍運動は、垂直方向として、垂直とび、リバウンドジャンプ(RJ)、水平方向の測定種目としては両脚を使った立ち幅跳びや三段跳び、片脚を使った立ち三段・五段跳、横方向の跳躍として、片脚のラテラルブロードジャンプを実施した。跳躍の測定項目は合計12種類を実施することが出来た。「走る運動」として、直線走として「反応スプリント10m・30m」方向変換走として「プロアジリティー・T字方向転換走」の4種目の測定を行うことが出来た。また、種目選定にあたり筋力の要素を除外する目的から脚筋力の測定も実施した。さらに、各測定種目に際し、主観的難易度も調査し、大学生自身が行った難易度、小学生に実施するという想定での難易度を調査し、小学生を対象とした研究への基礎資料を得ることが出来た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、研究実績の概要で示した関連を検証するために、同一の対象者に各跳躍運動と走運動を実施し、その特徴を明らかした。令和4年度は、大学生を事例的に実施し、小学生が学校体育でも活用できる視点を踏まえ、各種目の測定を実施した。対象者は、男子大学生31名、女子大学生16名の計47名の大学生を対象に事例的検証の為、測定を実施することが出来た。対象者は、大学生の中でも陸上競技の跳躍や混成競技を専門とし、本研究における跳躍運動をトレーニングで経験をしており、その実施方法などの再現性が担保されていると判断した。令和4年度に実施した「①大学生を対象とした測定種目の選定(事例的検証)の取り組み」では、様々な跳躍運動や走運動の実施から種目選定をするため、事例的研究として、上記対象者に各測定項目の実施難易度や妥当性や再現性などを検証した。具体的な測定項目は、属性(身長、体重、体脂肪)、脚筋力、跳躍運動として、垂直方向の跳躍運動(垂直とび、リバウンドジャンプ)」、水平方向の跳躍運動(立ち幅跳、立ち三段跳び、立ち五段とび)横方向の跳躍運動としてのラテラルブロードジャンプを実施した。走運動として、直線走(反応スプリント10m・30m)、方向変換走(プロアジリティー・T字方向転換走)の測定を実施した。なお、測定に際し、測定マニュアルも作成し、測定方法の妥当性も担保した。さらに、各測定種目に際し、小学生を対象に実施するという想定での難易度を調査することが出来た。現状、測定データを入力し、分析を進めている。現在までに十分な結論は得られていないが、次の研究となる小学生を対象とした事例的検証究の基礎資料は得ることが出来た。なお、当初の予定では、小学生対象の事例研究も可能ならば前倒しをするという計画があったが、コロナ禍により、対象者の実施が難しくなり、当初の予定通り、令和5年度に実施したい。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は、大学生の事例的検証を基礎資料として、小学生を対象とした事例的検証に臨みたい。特に実施種目については、地域のスポーツ活動や学校体育への活用を踏まえた視点での検証を行いたい。今後実施する様々な跳躍運動は測定項目の多くは簡易的に測定できる項目である。したがって、小学校をはじめ、地域においてもその普及性や汎用性は高いものであるといえる。さらに、創造性として、単なる測定項目の提案ではなく、跳躍運動の測定結果と走能力との関連を示せる尺度の作成、トレーニング種目として、学校現場で広めていきたいと考えている。 令和5年度では、大学生の事例的検証結果を踏まえ、「②小学生を対象とした測定種目妥当性(事例的検証)の取り組み」を実施したい。特に小学生の中でも陸上クラブなどに所属しており、様々な測定に対応可能な児童(男女)を対象に大学生と同様の知見が得られるのかを検証し、更に実施難易度やその妥当性も確認したい。なお、被験者の属性として、身長や体重だけではなく、発育発達や運動の意識面なども把握するため、脚筋力値や運動歴などの基礎資料も得た中で、測定項目の検証を行いたい。続く「③小学生を対象とした様々な跳躍運動と走運動の検証」では、大学生と小学生の事例的検証結果を基に測定種目を選定し実施したい。特に実施時に跳躍運動の難易度や楽しさ、主観的な意識などをアンケートによる調査を行いたい。対象者は小学校中学年から高学年と運動嫌いが起こってくる年代に注目し被験者の確保に努めたい。測定した跳躍運動と走運動における最も高い関連がある跳躍運動を見つけ出すことが本研究の最大の目標ではあるが、単なる測定値からの検討ではなく、運動への意識も調査し、今後の実効性を高めるためにも、運動時の手順や留意点なども記録したい。そして、教材提案をしたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していた被験者数よりも、実施した被験者が13名少なかった。また、測定験者や測定データの入力に際し、多くの作業を自身が実施しため、補助学生の謝金が発生しなかった。次年度、小学生を対象に実施する際、当初の予定よりも多く補助が必要になる可能性もあるので、そちらに充当したい。
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