研究課題/領域番号 |
22K11686
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
渡辺 英次 専修大学, 文学部, 教授 (10348336)
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研究分担者 |
三島 隆章 大阪体育大学, 体育学部, 教授 (00461707)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 発育発達 / 運動能力 / トレーニング / コンディショニング / スポーツ科学 |
研究実績の概要 |
令和5年度について,研究代表者の在外研究のため,研究分担者の協力を得ながら指導者と密に連絡を取り,継続して測定を行うことができた.令和3年度より日本バドミントン協会ジュニアナショナルチーム強化合宿にて測定を行い,今年度も継続して測定することができた.対象となった選手たちは世代のトップレベルの選手である.幼少の頃から継続してトレーニングを積んだ選手たちのデータは世代の目標値としても大切なデータである.将来のナショ ナルチーム,トップアスリートになる選手も数多く有しており,今後も継続した測定を行う予定である. フィードバックについて,概ね7~10日程度で手元に届くよう返却することができた.あわせて一部選手にアンケート調査を実施することができた.コンディショ ンデータの集計と体力データの連結作業が今後の課題となる. また,国外で同様の測定が可能か,実際に測定会を開き,テスト実施することができた.測定実施について,日本では全体で測定を行うのに対し,1時間30分の練習を並行しながら,5~6名の少人数のグループを30分ほどで数回測定するスタイルであった.日本とは異なるスタイルではあるが,コーチ,選手のやりやすいスタイルに合わせて,その国のスポーツ文化を体感しながらの測定であった.コーチ,参加選手ともに測定に高い興味を示した.継続した測定を行うために得られた課題の解決に取り組みたい. これまで得られたデータの取りまとめを進め,国際学会での発表を目指す.多くのクラブにご協力いただくことができ,継続した測定を実施できたことから,概ね順調に進展したと考える.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
スポーツ開始年齢の早期化,専門化によりオーバーユース,オーバートレーニングに伴うスポーツ傷害の発生が危惧されている.選手の発育発達段階を認識し, 傷害のリスクを抑えたトレーニング方法の提言は喫緊の課題であると言える. 本研究は,スポーツ活動が発育発達期の選手に与える身体の影響に着目し,各競技のスポーツクラブに所属するジュニア期からユース期の選手を対象として体力・運動能力測定,コンディション因子測定とアンケート調査を実施し,実証的に研究する.得られた測定結果から,競技種目特有の体格,運動能力の発育発達 のパターンと性差,各年代特有のコンディションの変化と傷害の有無との関連性が明らかとなる.競技現場の指導者,保護者,選手に発育発達の変化を含めたスポーツ医科学の知見を還元することで傷害のリスクを抑え,競技人生を伸ばし,引退後もスポーツに親しむ好循環が生まれることを到達目標としている. 令和5年度は13種目 (バドミントン,レスリング,アイスホッケー,バレーボール,バスケットボール,サッカー,野球,空手,ラグビー,柔道,水泳,運動教室),868名の測定を実施し,基礎データに追加することができた.基礎データは平成20年8月の測定開始より延べ22412名となった.測定は各クラブの練習会場で行うことで選手,指導者らの負担を少なくし,継続した測定が可能となっている.継続して測定することでその数値の意味を知る機会を増やし,測定の意義を理解し数値を読み取ることのできるリテラシーの高い選手を数多く育成するとともに,コンディションの評価と改善,日々の活動の成果を定期的に確認できる選手が育つことも期待される. 令和5年度は国外での測定をテスト実施した.環境やスポーツ文化を確認することができた.継続した測定に向けての問題点の抽出を行なった. 引き続き測定を継続し,結果を発表していく予定である.
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の計画に従ってPDCAサイクルに則り,より効率的な測定・分析・フィードバック手順を再確認し,随時修正を行いながら滞りなく実施する.得られたデータから競技種目特有の体格,運動能力の発育発達のパターンと性差,各年代特有のコンディションの変化と傷害の有無との関連性について検討する. 研究代表者は研究の統括を行うが,測定,分析含めて研究分担者と共に遂行する.研究組織内では密に会合を行い,データ分析結果の情報共有と検討,測定の問題点,機材の状況,測定会場の環境とクラブの状況,選手・指導者・保護者の反応など,継続的に測定が滞りなく行われるよう情報交換を行い,研究計画通りに遂行することは可能である. また,国外でも同測定を実施することを視野に入れている.令和5年度に国外で測定をテスト実施することができた.得られた課題を整理し,継続した測定実施に向けて先方と密に連絡をとりながら進める予定である. 得られた知見は速やかに学術雑誌に投稿し,発表された成果は各測定クラブへフィードバックする.スポーツ科学の知見を活用し傷害のリスクを抑え,競技人生 を伸ばし,引退後もスポーツに親しむ好循環が生まれることを期待している.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者の在外研究に伴い,使用予定であった物品費について,旅費に充てた金額と合わせて測定機器(OptoJump)の買い替えを検討していたが,所属先の研究費を使用し確保することができたため,次年度にそのまま繰り越す計画とした. 令和6年度は国内測定の拡充,測定機器の買い替え(身長計,光電管),国外測定の実施,学会発表を計画しており,繰越分を充てる計画である.
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