研究課題/領域番号 |
22K11709
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
横山 葉子 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 特任講師 (10617244)
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研究分担者 |
渡辺 光博 慶應義塾大学, 政策・メディア研究科(藤沢), 教授 (10450842)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 栄養バランス / タンパク質 / 炭水化物 / ミトコンドリア / 腸内細菌 / 胆汁酸 |
研究実績の概要 |
米国国立老化研究所は人に応用可能な抗老化薬4剤(レスベラトロール、メトホルミン、ラパマイシン、スペルミジン)の臨床研究を年間200億円かけて開始した。これらの抗老化薬のメカニズムは、サーチュインやAMPKの活性、mTORやIGF-1の抑制といった、栄養応答性のシグナルが制御しており、普段の我々の「食の選択」が健康寿命延伸に直接的に関与していることを示唆している。一方、低炭水化物食のような歴史的に見て劇的な栄養バランス変動を伴う食事選択が近年増加しており、最適な栄養バランスの解明は急務である。本研究では、これまでに得られた低タンパク質食の代謝疾患改善・健康寿命延伸作用をさらに発展させ、タンパク質と炭水化物の相互作用から検討する。先行研究では、低タンパク質食が最も代謝疾患を改善させたが、これは炭水化物がスターチで構成された場合にのみ限定された。本研究では、①腸内細菌・胆汁酸相互作用シグナル、②胆汁酸のミトコンドリア機能保護作用に着目し、栄養バランスの最適解を新規メカニズムから解明し、国民の食事選択の指標を提示することを目的とする。本年度の概要は下記の通りである。 1)はじめに腸内細菌叢に直接的影響を与える食物繊維に着目し、種類(水溶性・不溶性食物繊維)を変更した餌をマウスに投与し、代謝疾患への影響を検討した。この結果、食物繊維の質よりも量の方が肥満・糖尿病をはじめとした代謝疾患の改善に寄与していた。 2)次に、食物繊維の質と量は一定とし、炭水化物の質のうちスターチに着目し、種類を変更した餌をマウスに投与し、代謝疾患への影響を検討した。この結果、スターチの質の方が量よりも肥満・糖尿病をはじめとした代謝疾患の改善に寄与していた。現在、上記の解析を実施している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初予定していた投与実験を開始したため。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、1)炭水化物の質とタンパク質の量の差異が代謝に与える影響を、エネルギー産生、脂質・糖代謝に着目して検討する。2)分子生物学的検討により責任臓器の特定と、胆汁酸・腸内細菌相互作用シグナルの検討を行う。
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