研究課題/領域番号 |
22K11722
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
宮崎 光江 弘前大学, 保健学研究科, 助教 (90806415)
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研究分担者 |
下川 哲昭 高崎健康福祉大学, 健康福祉学部, 教授 (90235680)
宮崎 航 弘前大学, 保健学研究科, 教授 (90512278)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 脂肪蓄積 / 肝細胞 / EID1 / 脂肪酸 |
研究実績の概要 |
本研究は、マウス脂肪前駆細胞において脂肪蓄積を抑制することが新たに発見された EID1が、ヒト肝細胞内への脂肪の蓄積も抑制することができるかを検証するものである。EID1は胆汁うっ滞性肝線維症の調節に寄与しているという報告があり [Zhang et al., 2014]、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)に関与する可能性が示唆されている。本研究によりEID1の脂肪蓄積への影響が肝細胞においても明らかとなれば、脂肪肝や脂肪肝から肝炎を経た肝硬変や肝がんへの移行の予防に利用できる可能性を秘めている。 本年度は、培養肝細胞HepG2においてEID1を過剰発現させ、オレイン酸の添加により脂肪蓄積を誘発し、Oil-Red O染色を用いて細胞内脂肪蓄積量の増減を比較することとした。その結果、脂肪細胞3T3-L1の場合とは反対にHepG2ではEID1の過剰発現により脂肪の蓄積量が有意に増加することが明らかとなった。また、培地のグルコース濃度が高いと細胞内脂肪蓄積量はより多い傾向がみられた。しかし、グルコースをトリグリセリドに変換するGPD1の発現量をリアルタイムPCRで調べたところ減少の傾向はあるものの有意差はなかった。3T3-L1の場合はEID1の過剰発現によりGPD1が有意に抑制されトリグリセリド蓄積量が減少したが、肝細胞においては別の経路によってEID1の過剰発現が脂肪蓄積を促進したと考えられる。 一方、HepG2においてEID1をsiRNAを用いてノックダウンしても細胞内脂肪蓄積量に大きな変化は見られなかった。これは肝細胞における内在性のEID1発現量が少なく、ノックダウンの影響が大きくなかったためと考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画において挙げている、HepG2と3T3-L1でのEID1の相同性/特異性の探求については順調に進展している。当初の予想とは異なり3T3-L1の結果とは反対にHepG2においてはEID1過剰発現により脂肪の蓄積が促進されていたが、EID1によって変動する因子は予定していた手法により解析可能であり、問題なく研究を進めることが可能である。
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今後の研究の推進方策 |
進捗状況に記載した通り当初想定していたものとは反対の結果ではあったが、引き続きEID1により変動する因子を探索していく。今後はマイクロアレイやリアルタイムPCR/ウエスタンブロッティングによる関連因子の特定に注力する。研究成果に関しては、引き続き学会等で積極的に発表を行っていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究分担者が行う実験において本年度は準備段階であり、予算を使用するに至らなかった。次年度より実験が大きく進捗することから次年度に繰り越した。
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