研究課題/領域番号 |
22K11741
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
副田 二三夫 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (10336216)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | エンリッチ環境 / クロペラスチン / AMPT / 海馬 / trkB |
研究実績の概要 |
排尿機能改善因子のひとつであるエンリッチ環境 (enriched environment: EE) の作用機序を明らかにする一環として、カテコールアミン系に着目し、チロシンヒドロキシラーゼ阻害薬であるAMPT (α-methyl-p-tyrosine) を用いて、EE飼育した4-vinylcyclohexene diepoxide (VCD) 誘発性の閉経後モデルマウス(VCDマウス)の排尿機能に対するAMPTの影響について調べた。その結果、総排尿量はスタンダード環境(standard environment: SE)-生理食塩水群に比べ、SE-AMPT群で有意に増加した。また、EE-生理食塩水群の総排尿量は、EE-AMPT群との間に有意な変化はなかった。これらのことから、EEの排尿機能改善作用にカテコールアミン神経系は関与しない可能性が考えられる。また、VCDマウスで認められたAMPTによる総排尿量の有意な増加は、正常マウスでは認められなかったことから、AMPTの総排尿量増加作用は、閉経後という障害時においてのみ、選択的に認められる可能性が考えられた。また、ヒトの閉経後を反映すると考えられている、VCDの投与開始日から129日目以降のマウスの排尿機能障害に対するEEおよび排尿機能改善因子である非麻薬性中枢性鎮咳薬の改善作用を確認した。EEは、15週間から16週間の飼育で、障害の改善を確認した。また、非麻薬性中枢性鎮咳薬であるクロペラスチンは、20 mg/kgを28日間、1日1回の投与で排尿回数と最大尿流率を改善させることがわかった。また、EE飼育36週目のVCDマウスを用いて、脳内物質の発現と排尿機能パラメーターの関連性について予備的に検討したところ、海馬のBDNFの受容体であるtrkBの発現と1回排尿量の間に正の相関がある可能性が推察された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
VCDマウスのエンリッチ環境飼育の影響およびクロペラスチンの影響のデータ取得に時間を要してしまったため、海馬の神経新生能や脳内物質と排尿機能パラメーターの相関を調べる実験に遅れが生じてしまった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、海馬の神経新生能や脳内物質と排尿機能パラメーターの相関を調べる実験に取り組む予定である。令和4年度の予備検討で、EEの排尿機能改善作用に海馬が関与する可能性を示唆する知見を得ているため、今年度は、排尿機能障害の改善に関与する物質を海馬に絞って探索する。具体的には、VCDマウスの背側海馬と腹側海馬を切り出し、まず、PCRアレイを用いて神経活動に関与する受容体やチャネルなどについて、網羅的に遺伝子発現定量解析を行う。2倍以上の変動を認めた物質については、リアルタイムPCR法、イムノブロット法、ELISA法により、mRNAおよびタンパク質レベルで、排尿機能障害の改善により確実に変動する物質を探索し、これを候補物質とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は、VCDマウスのエンリッチ環境飼育の影響およびクロペラスチンの影響のデータ取得に時間を要してしまい、海馬の神経新生能や脳内物質と排尿機能パラメーターの相関を調べる実験に遅れが生じてしまったためである。使用計画は、上記の実験を行うための経費として使用したい。
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