研究課題/領域番号 |
22K11745
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森 真弓 京都大学, 医学研究科, 特定講師 (70710060)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ビタミンD / 免疫老化 / DNAメチル化 / エピジェネティクス |
研究実績の概要 |
本研究では、T細胞における「ビタミンDによるDNAメチル化・脱メチル化を介したエピジェネティック制御機構」に着目して、特異的な抗原による活性化刺激後のマウスCD8T細胞について全ゲノムメチル化シーケンシングを遂行した。 全ゲノムメチル化シーケンシング解析の結果、多数の候補遺伝子関連領域がゲノム中に見出されたが、それらがどのようにT細胞の細胞周期や老化を制御しているのかは、この情報だけを用いて解明するのは困難であると考えた。そこで、AMED BINDS支援コンサルティングによって、①本研究で用いているT細胞のRNAシーケンシングによる網羅的遺伝子発現変動解析および、②公表されているマウス老化CD8T細胞のATACseqデータの比較解析をおこなった。前者①は、DNAメチル化・脱メチル化により直接制御されるものと、ビタミンD核内受容体が転写因子としてはたらくことにより制御されるものが含まれる。後者②は、DNAメチル化・脱メチル化やその他のエピジェネティック制御を包括したクロマチン構造変化を総合的に検出することにより、遺伝子発現制御とその領域を見出すことができる。 この結果、前年度の研究成果として確認された「ビタミンDによるCD8T細胞の老化マーカー発現抑制および細胞周期調節因子の変動」が、全トランスクリプトームレベルでも改めて確認された。これらのうち、特に細胞周期調節因子の遺伝子発現変動は、自然老化によるクロマチン構造変化にともなって遺伝子発現変動が予測されるものと概ね重複していた。さらに、新たな共同研究者とともに独自のRNAseqデータ解析をおこない、活性化CD8T細胞のRNA転写物のプロセシングがビタミンDによって変動するという発見にいたった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
全ゲノムメチル化シーケンシング解析そのものは順調に終了した。また、前年度と同様に、当初の解析目標から方向転換を経てその他のシーケンシング解析を組み合わせることにより、広い意味での「エピジェネティック制御機構」を解明できる見込みである。
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今後の研究の推進方策 |
当初の解析目標であった、ビタミンDによる活性化CD8T細胞のDNAメチル化・脱メチル化の「標的配列」の同定は終了したが、今後は通常のPCRレベルのシーケンシングで確認が必要である。また、DNAメチル化・脱メチル化制御だけではT細胞老化のエピジェネティック制御機構を説明できないと考え、RNA転写とそのプロセシングによる遺伝子発現制御およびビタミンD核内受容体を介した転写因子による遺伝子発現制御の両方を組み合わせたメカニズムを思案中である。当面はin vitroまたはex vivoの細胞レベルでビタミンDによる直接的なT細胞老化制御機構を明らかにすることを目標とする。その後、老化マウスモデルなどを用いてin vivoでビタミンDによるT細胞老化制御機構が働くことを確認する。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額は交付総額全体からすれば少額であり、2023年度の初めに育児休業(2023年3月~4月)を取得していた状況から考慮すると、短期間の研究活動延長とそれにともなう交付金使用の延期が生じた状況と矛盾はない。次年度以降に研究活動を長期間延長する必要は今のところないため、むしろ本研究課題のエフォート率を増やして年度内に研究計画を完遂し、残りのすべての交付金を使用する予定である。
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