研究課題/領域番号 |
22K11752
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
横田 茂文 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 准教授 (50294369)
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研究分担者 |
濱 徳行 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 助教 (60422010)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 閉塞性睡眠時無呼吸症 / 低酸素 / 孤束核 / Fos / 延髄腹外側部 / マウス |
研究実績の概要 |
本研究は、閉塞性睡眠時無呼吸症に起因する高血圧の発症機構を解明することを目的とした。 閉塞性睡眠時無呼吸症のモデルとなる低酸素暴露は、延髄孤束核のニューロンを活性化し、Fosを発現させる。また、これまでの知見によって、孤束核ニューロンは15のサブクラスターに分類されることが明らかとなっている。そこで、低酸素暴露によって活性化するニューロンのサブクラスター分類を行った。まず、孤束核のグルタミン酸作動性(興奮性)ニューロンのサブクラスターを同定し、それらの空間的分布を解析した。in situ hybridization法と免疫組織化学を併用し、サブクラスターに特有の発現mRNAとタンパクを検出すると、12のサブクラスター特有の分布が認められた。この方法に、低酸素刺激(8%、30分)を与えたマウスのFosの検出を加え、活性化したニューロンの分類を行うと、ほぼすべてのFos発現ニューロンが12のサブクラスターに分類された。この解析により、低酸素応答を引き起こす脳内回路のスタートニューロンの同定ができたと考える。また、これらの解析と同時に、閉塞性睡眠時無呼吸症モデルマウスの作成を行っている。6日間の連続8%低酸素暴露後に血圧を経時的に4週間にわたって計測したが変化は認められなかった。そこで、閉塞性睡眠時無呼吸のモデルとなる間欠性低酸素刺激を明期に20日間与える方法に変更し、同様に経時的に血圧を計測すると、暴露翌日は血圧が低下し、その後4週間にわたって血圧の上昇が認められた。現在、これらの血圧変化した際に活性化したニューロンの同定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
血圧に変化を生じるために必要な間欠性低酸素暴露期間が3週間と長く、その後の血圧計測が4週以上にわたっているため、実験自体に時間がかかる。また、1度に作成できるモデルマウスは数匹と数が少ない。期間の長い実験を繰り返す必要があるため、当初の予定に遅延が生じている。
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今後の研究の推進方策 |
閉塞性睡眠時無呼吸症のモデルマウスを作成し、血圧変動に関わる活性化ニューロンの同定を行う。その際に、血圧調節に関わる延髄腹外側部のみではなく結合腕傍核も解析し、目的達成を行う。 孤束核ニューロンの分類により関連するニューロンが明らかとなったので、特徴となる遺伝子を改変したマウスの導入を検討し、低酸素応答を担う脳内神経回路の解明を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度は動物実験施設の改修工事により閉塞性睡眠時無呼吸症モデルマウスの作製ができなかったために開始時期が遅れた。また、閉塞性睡眠時無呼吸症モデルマウスの作製において、当初の計画より間欠性低酸素暴露の期間が長く必要であることが分かり、実験に遅延が生じたため。
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