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2022 年度 実施状況報告書

25-ヒドロキシビタミンD3の肝臓保護効果の検証と新たな栄養戦略への展開

研究課題

研究課題/領域番号 22K11756
研究機関富山県立大学

研究代表者

西川 美宇  富山県立大学, 工学部, 助教 (90749805)

研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワードビタミンD / NAFLD / マクロファージ
研究実績の概要

本研究は, 活性型ビタミン D である 1,25-dihydroxyvitamin D3 (1,25D3) 依存的に機能性が説明されている現在のビタミン D 研究に関して, これまで不活化前駆体と考えられてきた 25-hydroxyvitamin D3 (25D3) の肝臓における生理機能を明らかにすることで代謝疾患における新たなビタミン D 栄養戦略の基盤を構築することを目的とする。
ビタミンDの機能発現メカニズムは主にビタミンD受容体(VDR)に活性型ビタミンDである1,25D3が結合することによる。我々はこれまでに、単なる生体内輸送形態と考えられてきた 25D3 も弱い結合親和性によってVDR依存的な生理作用を示すことを報告してきた。動物における25D3の生理作用を検証する際に、高活性である1,25D3の生理作用を排除することは最重要課題である。そこで本研究では1,25D3や25D3に対する結合親和性が低下した複数の変異型 VDR 導入ラットの表現型比較解析をすることで、 肝臓における25D3の VDR 依存的生理作用を検証した。
ラットVDRの270番目のアルギニンは1,25D3の1α位水酸基と、301番目のヒスチジンは1,25D3および25D3の25位水酸基との結合に重要な役割を果たす。VDR 依存的な 25D3 の生理作用は R270LとR270L/H301Q 間の表現型の差として現れると予想される。R270L/H301Qで導入ラットは肝臓脂肪蓄積の増加が認められ、また非アルコール性脂肪性肝炎の病態進展に関与する肝臓マクロファージの炎症応答性も亢進傾向であった。25D3のVDR依存的作用が肝臓マクロファージを介在して肝臓病態に影響を及ぼす可能性が示された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り、本研究の解析に必要なVDR二重変異体を得て、肝臓表現型の比較解析を行うことができた。具体的には, まずは内在性 1,25D3の VDR 依存的作用を排除することを目的として, 1,25D3に対する結合能が著しく低下する変異型 VDR(R270L)をベースにし, 新たに R270L/H301Q の二重変異体を得た。VDR 依存的な 25D3 の生理作用 (25D3-VDR) は R270LとR270L/H301Q 間の表現型の差として現れると予想される。R270L導入ラット と R270L/H301Q導入ラットの表現型比較により VDR 依存的な 25D3 作用の欠損が肝臓の病態進展に及ぼす影響を検証した。R270L/H301Qで導入ラットは肝臓脂肪蓄積の増加がみられ、また肝臓マクロファージの炎症応答性も亢進傾向であった。25D3のVDR依存的作用が肝臓マクロファージを介在して肝臓病態に影響を及ぼす可能性が示された。現在は高脂肪食負荷条件下における病態進展を解析している。

今後の研究の推進方策

今後は高脂肪食負荷条件下においてR270L導入ラット と R270L/H301Q導入ラットの表現型を解析し、肝臓における病態進展を比較する。

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公開日: 2023-12-25  

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