研究課題/領域番号 |
22K11757
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
吉岡 泰淳 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (80801513)
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研究分担者 |
三好 規之 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70438191)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 異所性脂肪細胞 / 骨格筋 / NAMPT |
研究実績の概要 |
生体におけるNAD+生合成は、主にサルベージ経路が利用されている。サルベージ経路の律速酵素は、NAMPTである。NAMPTの一部は、白色・褐色脂肪細胞において、細胞内型(iNAMPT)として発現し、細胞外型(eNAMPT)として細胞外小胞(EV)に封入された形で血液を循環する。eNAMPTは、標的臓器・組織に取り込まれること(エンドサイトーシス)によってNAD+生合成を賦活化し、各臓器の機能亢進に寄与している。本研究は、骨格筋の異所性脂肪細胞から分泌されるeNAMPT内包EVが近傍の骨格筋細胞に輸送され、障害修復やインスリン抵抗性改善など骨格筋の機能亢進に及ぼす影響を評価することを目的としている。本年度は、食餌性の異所性脂肪細胞の蓄積モデルマウスの検討を行った。その結果、高脂肪・高スクロース食を4週間摂取させたマウスにおいて、骨格筋における異所性脂肪の蓄積が観察された。骨格筋の異所性脂肪には、筋芽細胞への脂肪滴としての蓄積と間葉系前駆細胞からの脂肪細胞への分化の2種類がある。筋芽細胞および間葉系前駆細胞の分化マーカーはそれぞれPAX7およびPDGFRalphaである。高脂肪・高スクロース食を2週間摂取させたマウスの腓腹筋をコラゲナーゼ処理し、フローサイトメトリに供することで、PAX7陽性細胞およびPDGFRalpha陽性細胞を検出した。腓腹筋におけるPDGFRalpha陽性細胞は、普通食摂取群と比較して、高脂肪・高スクロース食群で増加した。このうように、高脂肪・高スクロース食の摂取は、骨格筋に脂肪細胞を蓄積させることを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
骨格筋への異所性脂肪細胞の蓄積が誘導される食餌性モデルマウスを作製できた。しかしながら、障害性のモデルマウスの作製には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
・障害性の骨格筋異所性脂肪細胞蓄積モデルマウスの作製を行う。 ・NAMPTを過剰発現させた培養細胞を作製し、eNAMPTの精製を行う。 ・骨格筋組織の異所性脂肪細胞をソーティングし初代培養する。
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