研究課題/領域番号 |
22K11764
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
福村 敦 金沢医科大学, 医学部, 助教 (80367466)
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研究分担者 |
飯田 安保 金沢医科大学, 一般教育機構, 准教授 (10337173)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | アルコール性肝障害 / 終末糖化産物 / 毒性終末糖化産物 / AA-AGEs / TAGE / 酸化ストレス / 抗酸化物質 / 飲酒 |
研究実績の概要 |
アルコール性肝障害 (alcoholic liver disease: ALD) の発生には、肝臓におけるアルコール (AL) の最初の代謝産物であるアセトアルデヒド (acetaldehyde: AA) が主要因子の一つとして知られている。申請者らは、肝臓に蓄積した終末糖化産物 (advanced glycation end-products: AGEs) 、その中でもALの代謝で生じてくるAA由来AGEs (AA-AGEs) と、ブドウ糖・果糖の過剰摂取時に生成される毒性AGEs (Toxic AGEs: TAGE) の2種のAGEsに着目して、血中量の測定を行ってきている。ALDの発生・進展機序の一つに酸化ストレスの関与が挙げられるが、今回、ALD患者において肝硬変の進展に関与する因子を明らかにするために、飲酒時に摂取する副食や抗酸化物質の摂取状況などの生活習慣について聴取し、肝組織におけるAA-AGEs、TAGE、8-OHdG、SOD2などの免疫組織化学染色などを比較することとした。 初年度 (2022年度) は、6週齢のWistar/ST系雄性ラットを用い、Lieberらの方法に準じて、慢性AL性肝障害モデルを作成した。飲用する液体飼料の組成により対照群とAL群に分け、それぞれ12週間飼育し、犠死させて肝臓を摘出し、血液を回収し、血清と肝組織中のAA-AGEsやTAGE量などを検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験 (ラット) の実施、安定したTAGEの免疫組織化学染色の確立および結果の解析に時間がかかり、アルコール性肝障害患者に対する検討がまだできていないため。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度から2024年度 (最終年度) まで、1年以上かけてALD患者へ飲酒に関連した生活習慣の聞き取りを行い、生活習慣病 (2型糖尿病、脂質異常症、高血圧症、高尿酸血症) の合併の有無およびその服薬歴を調査する。血清γ-GT値、MCV値で直近の飲酒量の増減を判断し、血清AST、ALTで直近の肝障害度を、また、血清アルブミン値および血清総ビリルビン値から算出されるALBIスコアにより肝予備能を評価する。継続通院患者に対しては、聞き取り調査前と聞き取り調査1年後の肝硬度 (肝線維化の評価) を超音波エラストグラフィー (ShareWave Elastgraphy: SWE) で評価する。 肝生検組織を得られた患者では、AA-AGEs、TAGE、8-OHdG、SOD2などの免疫組織化学染色を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の遅れから物品の購入が少なかったこと、ならびにCOVID-19感染症の蔓延下で学会発表がWEB発表主体であったことから旅費があまりかからなかったために次年度使用額が大きくなった。 次年度は、ALD患者を対象に、飲酒歴および抗酸化物質の摂取状況の聞き取りを約1年継続し、肝組織を得られた症例については、AA-AGEs、TAGE、8-OHdG、SOD2の肝組織の免疫組織化学染色を行い、ALDにおけるこの2種の終末糖化産物 (AA-AGEsおよびTAGE) と生体内抗酸化能に関する検討を予定しており、物品の購入、旅費、論文投稿等に使用する予定である。
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