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2023 年度 実施状況報告書

疾病リスク予測を目指した微量血液からの脂肪酸プロファイルの迅速分析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22K11765
研究機関中部大学

研究代表者

石田 康行  中部大学, 応用生物学部, 教授 (70273266)

研究分担者 堤内 要  中部大学, 応用生物学部, 教授 (50329851)
宮澤 大介  金城学院大学, 薬学部, 教授 (70434553)
研究期間 (年度) 2022-04-01 – 2025-03-31
キーワード脂肪酸プロファイル / 血液 / 反応熱脱着GC / 多価不飽和脂肪酸 / 有機アルカリ / 発生ガス-MS分析
研究実績の概要

昨年度、ミクロ反応炉と質量分析装置(MS)間をトランスファーラインにより直結した発生ガス-MS装置を用いて、血液を含浸させたろ紙試料(ろ紙血液検体)の反応挙動の解析を行った。しかし、そこでは大きな問題点として、ろ紙血液検体を凍結粉砕して得られた粉末試料を使用して実験を行っており、実際の測定試料を模した小片状の試料を用いた挙動解析を実施していなかった。そこで、本年度は、まず小片状のろ紙血液検体を対象として、発生ガス-MSによる反応挙動の解明を行った。具体的には、ろ紙血液検体のモデル試料からパンチャーを用いてくり抜いて得られた小片(直径3 mm)を、反応試薬である四級アンモニウム塩(トリフルオロメチルフェニル基を含む強有機アルカリ)共存下での発生ガス-MS測定に供した。その結果、粉末状の試料と比べて、小片状の試料ではろ紙に由来する熱分解生成物の発生をかなりの程度抑制できることが分かった。さらに、反応熱分解生成物の導入率の算出結果を基にして、PUFA成分の選択的な検出に最適である反応温度および反応時間の決定を試みた。その結果、温度および時間をそれぞれ300℃および30秒に設定したときに、ろ紙の熱分解生成物の発生量を最小限に抑制しつつ、PUFA類を最も効率よく選択検出できることが分かった。これらの条件下での反応熱脱着GCにより、ろ紙血液検体からPUFA成分を選択的かつ高感度に分析することに成功した。さらに、それらのピーク強度を基にして、n-6/n-3比などの脂肪酸プロファイルを迅速に解析することも可能にした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当初予定していた2段階式の反応熱脱着法の検討を今年度行うことはできなかった。この理由として、初年度に実施した発生ガス-MSによる反応挙動解析において、試料形態に関する問題点が残されていたことが挙げられる。そのため、今年度は実際の試料形態を模した小片状の試料を用いて、改めて反応挙動解明の実験を行うこととなった。一方で、この検討を通して、最適な反応熱脱着条件を詳細に決定することもできた。ここで決定した条件下での反応熱脱着GCにより、本研究の主たる目的の一つである脂肪酸プロファイルの迅速解析を当初の予定通りに達成することができた。以上の進展を総合して、上記(3)の自己評価を行った。

今後の研究の推進方策

今年度開発した、反応熱脱着GCに対して、新たに2段階での化学反応を加味した多段階での反応システムを構築することを試みる。ここでは異なる2種の試薬を連続的に作用させる「2段階反応熱脱着」を考案する。構想としては、血液検体と試薬をミクロ反応炉内に導入した後、まず遊離型脂肪酸(Step 1)、次いでエステル結合型脂肪酸(Step 2)の順でメチル化/気化を行える反応系を構築する。具体的な試薬の種類として、Step 2のエステル型の反応では今年度も使用した四級アンモニウムの水酸化物を使用する。一方で、Step 1の遊離型の反応ではその酢酸塩を選択する。それらの試薬の反応性の評価や、反応効率向上のための条件適正化を進めながら、2段階反応熱脱着法の完成を目指す。

次年度使用額が生じた理由

比較的消耗品を多く使用する2段階式反応熱脱着GC分析を実施する予定であったが、実験における問題点が発生したため、比較的安価であるトランスファーラインを用いた検討がしばらくの間続くこととなった。そこで2024年度は2段階式反応熱脱着の構築を行い、そこでは次年度使用額と合わせて使用する。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2023

すべて 学会発表 (6件) (うち招待講演 1件)

  • [学会発表] 微細藻類オーランチオキトリウム属中の脂肪酸成分の化学組成と存在状態の解析2023

    • 著者名/発表者名
      石田康行・石田千恵・肥後朋夏・武井升香・谷澤花音・本多 亘・大谷 肇・坂口栄実
    • 学会等名
      日本分析化学会 第83回分析化学討論会
  • [学会発表] 反応熱分解GC/MSによるショウジョウバエ1匹中の脂質酸化物の高感度分析2023

    • 著者名/発表者名
      石田 康行・幅 未早・磯貝 康太・高須 綾・木藤 伸夫
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会
  • [学会発表] 反応熱分解GCによる細菌産生型の共重合型ポリヒドロキシアルカノエートの連鎖分布解析2023

    • 著者名/発表者名
      葛巻 暁音・石田 康行・Siti Baidurah・Paramasivam Murugan・Kumar Sudesh
    • 学会等名
      日本分析化学会第72年会
  • [学会発表] 特異な分解場を利用する硬化した有機材料のネットワーク構造解析 ~伝統工芸品から紫外線硬化樹脂まで~2023

    • 著者名/発表者名
      石田康行
    • 学会等名
      日本分析化学会中部支部 2023年度愛知地区講演会
    • 招待講演
  • [学会発表] 健康診断での利用を目指したろ紙全血試料からの脂肪酸プロファイルの直接解析2023

    • 著者名/発表者名
      由利梓・平田梓紗・石田康行
    • 学会等名
      「分析中部・ゆめ21」若手交流会 第23回高山フォーラム
  • [学会発表] 反応熱脱着GC/MSによる冬虫夏草中での抗生物質の生成過程解析2023

    • 著者名/発表者名
      小川 輝・葛巻暁音・石田康行
    • 学会等名
      「分析中部・ゆめ21」若手交流会 第23回高山フォーラム

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公開日: 2024-12-25  

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