研究課題/領域番号 |
22K11779
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研究機関 | 宮崎大学 |
研究代表者 |
服部 秀美 宮崎大学, 農学部, 教授 (80508549)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 糖尿病 / 耐糖能異常 / 膵臓 / 壮年期 / エストロゲン |
研究実績の概要 |
緩徐進行1型糖尿病は劇症1型糖尿病などとは異なり、徐々にインスリン分泌が低下する疾患である。30歳以降に発症することが多く、明らかな発症要因は同定されていない。本年度はヒトの壮年期に該当する週令のメスマウスを用いて、1型糖尿病発症モデルマウス作製の確立を検討した。飼育方法として、28週令ICRマウスに果糖ぶどう糖液糖(HFCS)水を自由飲水させることにより過剰摂取させ、さらに固形餌で摂取エネルギー量をコントロールし16週間飼育した。耐糖能異常の評価のために経口グルコース負荷試験、インスリン負荷試験を行った。それらの試験後に解剖を行い、膵臓、肝臓、皮下・内臓脂肪組織の質量を測定し、血液生化学検査を行った。さらに、膵臓の組織標本を作製しランゲルハンス島の形態変化を調べ、インスリン分泌関連遺伝子、糖代謝関連遺伝子、アミノ酸代謝関連遺伝子のmRNA発現量についてreal-time PCRで調べた。また、女性ホルモンの分泌能について検討するために、卵巣中の卵胞の発育段階をHE染色で調べ、血中エストロゲン濃度をELISAで測定した。その結果、HFCSを過剰摂取させても摂取エネルギー量を制限すると肥満を誘発することはなかった。また、オスマウスとは異なりメスマウスでは、明らかな耐糖能異常を誘発しなかった。しかし、膵臓のアミノ酸代謝関連遺伝子の発現が上昇したことから、膵臓機能に何らかの影響を与えていることが推測された。卵胞の発育段階の変化や血中エストロゲン濃度について、28週令と44週令のマウスで比較したところ、両者に差はなかった。耐糖能に異常がなかったのはエストロゲンの影響であると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
同じ飼育条件でも耐糖能異常を誘発するか否かについては性差があり、オスとメスで作製方法を変える必要があることが明らかとなった。メスについてはまだ検討途中であるものの、おおむね順調にデータを得ることができている。
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今後の研究の推進方策 |
4-vinylcyclohexene diepoxideの使用による更年期モデルマウスを作製することができている。そのモデルマウスで耐糖能異常の誘発について検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
オープンアクセスの費用を多めに見積もっていたため。
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