研究課題/領域番号 |
22K11782
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研究機関 | 長崎県立大学 |
研究代表者 |
古場 一哲 長崎県立大学, 看護栄養学部, 教授 (30290638)
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研究分担者 |
田中 隆 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(薬学系), 教授 (90171769)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 黒大豆 / 乳酸菌MU-1 / OLETFラット / 高血圧自然発症ラット |
研究実績の概要 |
本研究は、黒大豆およびその乳酸発酵物がメタボリックシンドローム改善作用を有するかについて、種々の疾患モデル動物を用いた摂食試験により明らかにす ることを目的としている。 研究2年目の令和5年度は、まず前年度、肥満モデル動物(OLETF)ラットを用いて実施した摂食試験で得られた血漿および肝臓の分析を行った。その結果、有意差は認められなかったものの、血漿トリグリセリド濃度は、対照群に比べ、黒大豆摂取群で15%程度低い傾向があり、発酵黒大豆群では30%程度低い傾向があった。このような傾向は黒大豆の発酵に用いた乳酸菌のみを対照食に添加した乳酸菌群では認められなかった。肝臓のトリグリセリド濃度は、群間で違いは認められなかったが、肝臓(サイトソール画分)の脂肪酸合成系酵素の活性が、血漿トリグリセリドで認められたのと同様の傾向を示した。このことから、肥満モデル動物において、黒大豆の降トリグリセリド効果は、乳酸発酵することで高まり、その効果は乳酸発酵による黒大豆成分の変化によるものであることが示唆された。 次いで、発酵黒大豆の血圧調節作用について調べるために、高血圧自然発症ラット(SHR/Izm)を用い、同様の実験系で6週間の摂食試験を行った。摂食期間中、2週間に一度、尾部血圧を測定した結果、飼育開始して6週目の収縮期血圧は、対照群に比べ、黒大豆群、さらには発酵黒大豆群で低く、乳酸菌群では対照群と同等であった。このことから、黒大豆の血圧上昇抑制作用は、乳酸発酵することで高まることが示唆された。今後、その作用機序を明らかにするために、血漿中の血圧調節マーカーおよび動脈、肝臓、腎臓などの血圧調節関連遺伝子の発現測定を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2年目は、概ね順調であるものの、当初の予定では高血圧自然発症ラットを用いた摂食実験の分析まで完了することを目指していた。1年目の肥満モデル動物の実験の分析に予想以上に時間を要したため、高血圧自然発症モデルラットの摂食試験の開始が遅れ、現在分析を進行している。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度は、まず高血圧自然発症ラットの摂食試験の分析を完了する。そして、別の病態モデル動物として糖尿病モデル動物(KK-Ayマウス)もしくはメタボリックシンドロームモデルラット(SHR/NDmcr-cp)を用いて摂食試験を行い、黒大豆および発酵黒大豆の生理機能に関するデータを蓄積する。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和5年度中に、開始する予定だった摂食試験が令和6年度にずれ込んだため、摂食試験にかかる費用分を次年度に回す必要が生じた。
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