研究課題/領域番号 |
22K11798
|
研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
村上 宏 弘前大学, 医学研究科, 客員研究員 (20344608)
|
研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | エクオール / 2型糖尿病 |
研究実績の概要 |
令和4年度は、一般住民検診を受診した糖尿病の合併のない方(健常人)および弘前大学医学部附属病院内分泌代謝内科に通院中の2型糖尿病患者を対象として、研究参加者の募集ならびに検体収集を行った。対象者に研究内容を説明し、同意が得られた方から中間尿2mLを採取し凍結保存を行った。最終的に検体数は糖尿病症例1395名、一般住民検診受診者1113名となった。令和5年度は、以下の手順に従って尿中ダイゼインおよびエクオール濃度の測定を行い、全検体の測定を終了した。 (1)尿検体のイソフラボンおよびその代謝物(エクオール)画分を脱抱合酵素処理後に抽出し、HPLCにて測定後、尿中濃度を算出する。(2)得られた濃度を用いて、ダイゼインとエクオールのモル比より、エクオール産生能(エクオール産生者/非産生者)を判定する。 併せて、令和5年度より対象者について以下の臨床背景の調査も開始している。(1)身長、体重、空腹時の脂質データ、高血圧症の有無、(2)糖尿病症例を対象として、糖尿病の糖尿病の発症年齢・治療内容、空腹時血糖、HbA1c、インスリン、C-ペプチド、糖尿病網膜症・腎症の病期、アキレス腱反射の有無、下肢振動覚、末梢神経伝導速度。得られたデータは順次、コンピューターへ入力し、後日の統計解析に備えている。 令和6年度は、エクオール製剤の投与が糖・脂質代謝ならびにHDL(high density lipoprotein)によるコレステロール逆転送系(Reverse Cholesterol Transport:RCT)機能にどのような影響を及ぼすかについて検討を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
対象症例からの検体収集、尿中ダイゼインおよびエクオール濃度の測定ならびにエクオール産生能の判定は全て終了した。今後はエクオール製剤の投与がHDL(high density lipoprotein)によるコレステロール逆転送系(Reverse Cholesterol Transport:RCT)機能にどのような影響を及ぼすかについて検討を行う予定としている。HDLのRCT機能評価は、以下の方法で行う。1)患者血漿より超遠心法にてHDL分画およびApoA-Ⅰを分離する。2)血球成分より単球を分画し、培養にてマクロファージを作成する。3)培養したマクロファージに患者より得たApoA-Ⅰを加え、上清と細胞内の放射活性を測定して、コレステロール引き抜き能(HDL cholesterol efflux capacity)を算出する。 当初は当該施設より発表した既報(Matsuki K, Murakami H, et al.Aterosclerosis.2009; 206:434-8 )に基づき測定を行うこととしていたが、検体数が多く対応が難しいことが判明した。迅速かつ簡便なRCT機能の測定手順の確立を目指して検討を行っており時間を要している。
|
今後の研究の推進方策 |
対象症例からの検体収集、尿中ダイゼインおよびエクオール濃度の測定ならびにエクオール産生能の判定は全て終了しており、ここまでのデータ解析の結果から学会発表、論文作成を行う。 HDL(high density lipoprotein)によるコレステロール逆転送系(Reverse Cholesterol Transport:RCT)機能の解析方向につき検討を重ね、対象症例での測定を開始する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
今後はエクオール製剤の投与がHDL(high density lipoprotein)によるコレステロール逆転送系(Reverse Cholesterol Transport:RCT)機能にどのような影響を及ぼすかについて検討を行う予定としている。当初は当該施設より発表した既報(Matsuki K, Murakami H, et al.Aterosclerosis.2009; 206:434-8 )に基づき測定を行うこととしていたが、検体数が多く臨床応用が難しいことが判明した。現時点で測定に至っておらず、次年度使用額が生じた。迅速かつ簡便なRCT機能の測定手順の確立を目指して検討を行っており、このために使用する予定としている。
|