研究課題/領域番号 |
22K11803
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
藤本 勝巳 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (40294566)
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研究分担者 |
金輪 真佐美 (福永真佐美) 広島大学, 自然科学研究支援開発センター, 助教 (00284208)
佐藤 冬樹 静岡県立静岡がんセンター(研究所), その他部局等, 研究員 (60400131)
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研究期間 (年度) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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キーワード | bHLH / 転写因子 / MyoD |
研究実績の概要 |
Dec1,Dec2は概日リズム、細胞分化、癌など様々な生体機能に関わっているbHLH型転写因子である。両転写因子のエネルギー代謝における役割を解明するために研究を進めている。 Dec2は筋肉分化のマスター調節因子であるMyoDの作用を抑制することを明らかにした。MyoDは筋肉クレアチンキナーゼ(CKM)遺伝子上流のE-boxに結合しCKM遺伝子の転写を促進するが、Dec2はMyoDとヘテロダイマーを形成しMyoDの働きを阻害した。 Dec2のHLH領域を欠失させた変異体では、MyoDに対するDec2の阻害作用が消失した。 さらに、Dec2のホモダイマー形成には、HLH領域のみ必要であるのに対し、Dec2とMyoDの相互作用にはHLH領域とbasic領域の両方が必要であった。 ヒストン脱アセチル化酵素DHAC1の阻害薬であるトリコスタチンA(TSA)を作用させると、Dec2のE-box(CACGTG)に対する転写抑制作用が減弱したことから、Dec2の作用の少なくとも一部はDHAC1が関与していることが示唆された。一方、MyoDに対するDec2の阻害作用に対しては、TSAは効果を示さなかった。また、Dec2とヒストン脱アセチル化酵素DHAC1、Sirt1との相互作用を免疫沈降法により解析した結果、Dec2とDHAC1の結合はDec2のC末端が、Dec2とSirt1との結合はDec2のbasic領域とHLH領域が関与していることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Dec1, Dec2による転写抑制作用のメカニズムについて解析を進めている。Dec1, Dec2のDNA結合能や相互作用するパートナー因子を明らかにした。また、Dec2の変異タンパク質を用いて転写抑制作用に関わる機能ドメインを同定した。
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今後の研究の推進方策 |
骨格筋におけるDec1、Dec2 の役割を解析する。Dec1、Dec2、筋肉分化関連遺伝子、概日リズム制御遺伝子の概日リズム発現パターンを解析し、それらの関係性について考察する。また、ホルモン応答に対するDec1,Dec2の作用をレポーターアッセイによって解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
以前購入した試薬を研究に用いることができたので、該当年度において消費する費用を少なくすることができた。 当初の研究計画に追加して、新たに、ステロイドホルモンや性ホルモンの作用に対するDec1, Dec2の関わりを解析するが、次年度使用額はこれらの実験等に使用する。
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